ランボルギーニ・ムルシエラゴ、フェラーリ575 M、アストン マーティン・ヴァンキッシュ V12気筒乗り比べ 前編

公開 : 2022.01.22 07:05

スーパーカーの極めつきといえるV型12気筒。内燃エンジンに未来を感じた時代の3台を、英国編集部が試乗しました。

内燃エンジンの極致 大排気量NA V12

内燃エンジンの極致といえる、大排気量で自然吸気のV型12気筒。500馬力と300km/hという王代を実現する切り札だ。圧倒的な動力性能だけでなく、極めて繊細な質感も、それ以外のエンジンでは叶えることが難しい。

内燃エンジンは、1つの時代を終えようとしている。ランボルギーニムルシエラゴフェラーリ575 M マラネロ、アストン マーティンヴァンキッシュ Sの登場から、20年ほどが過ぎた。今ここで、その傑作たちを振り返ってみようと思う。

レッドのフェラーリ575 M マラネロ、イエローのランボルギーニ・ムルシエラゴ、ガンメタリックのアストン マーティン・ヴァンキッシュ S
レッドのフェラーリ575 M マラネロ、イエローのランボルギーニ・ムルシエラゴ、ガンメタリックのアストン マーティン・ヴァンキッシュ S

ロンドンの北、150kmほど離れたラトランド州に、カー・アイコニクス社というディーラーがある。フェラーリやアストン マーティンを中心とする高性能モデルが専門で、V型12気筒エンジンの2台を快く提供してくれた。

イエローのランボルギーニ・ムルシエラゴは、英国在住のジョセフ・ウィーラー氏のクルマ。彼も、今回の企画のために時間を割いてくれた。お礼を申し上げたい。

取材場所へ英国編集部が到着した時、ムルシエラゴのシザーズドアは威勢よく空へ立ち上がっていた。6.2Lのエンジンが、威圧的にハミングしながら。

鍵を借りる前に、運転で気をつけるべきことや、避けて欲しいことを訪ねる。ウィーラーは、「クルマを信じて、楽しんでください」と笑顔で答える。

均整の取れた典型的なくさび型

マルチェロ・ガンディーニ氏にかわって、フォルクスワーゲン・グループ傘下となった新生ランボルギーニのデザインを手掛けたのは、ルク・ドンカーヴォルケ氏。ステルス戦闘機のように三角形が組み合わされたスタイリングは、先代以上に均整が取れている。

サイドシルエットは、キャブフォワードの典型的なくさび型。サンターガタのスーパーカーの伝統として、巨大なV型12気筒エンジンをミドシップし、その前方にトランスミッションを組むレイアウトを見事に包み込んでいる。

ランボルギーニ・ムルシエラゴ(2001〜2010年/英国仕様)
ランボルギーニ・ムルシエラゴ(2001〜2010年/英国仕様)

ドアを避けるように頭をかがめ、サイドシルをまたいで、サイドサポートの高いドライバーズシートへ腰を下ろす。ムルシエラゴのインテリアは、意外なほどシンプルだ。

大きく弧を描くメーターパネルが載るダッシュボードは中央付近で立ち上がり、助手席側のグラブハンドルと一体につながる。2時と10時の位置で握りやすいように、小径のステアリングホイールを3本のスポークが支えている。

メーターの文字盤は、余計な装飾がなく書体も見やすい。じっくり観察すると、フォルクスワーゲンの部品も流用されているようだ。

インテリアの基調色はネイビー・ブルー。背の高いセンターコンソールに切られた美しいゲートから、スチール製のシフトレバーが伸びる。MTを操るスティックというより、オスカー像のような風格すらある。

ランボルギーニのフラッグシップ・スーパーカーとして、ムルシエラゴはディアブロの後継モデルに当たる。高張力鋼とカーボンファイバーの基礎骨格に、V12エンジンが中央へレイアウトされる四輪駆動だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ベン・バリー

    Ben Barry

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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