100年現役? 王立空軍CH-47チヌーク、正式採用から40年 未だ衰えを知らない実用性とは

公開 : 2021.12.31 20:05

RAF英王立空軍がチヌークを導入してから40年。抜群の実用性と耐久性を誇る大型輸送ヘリを紹介します。

100年現役の可能性

ボーイングCH-47チヌーク大型輸送ヘリコプターの英王立空軍(以下、RAF)でのキャリアは、思いがけず劇的なスタートを切った。

RAFは1980年後半にこの大型双発ヘリコプターの納入を開始し、1981年8月にハンプシャー州オディハム空軍基地で最初の飛行隊を編成した。1982年初頭、クルーも操縦を覚え始めた頃、突然アルゼンチン軍からのフォークランド諸島解放を支援するという最初の大仕事を任されたのである。

ボーイングCH-47チヌーク(RAF仕様)
ボーイングCH-47チヌーク(RAF仕様)    英国防省

5機のチヌークはフォークランドに向かうため、ウェセックスやリンクスといったヘリコプターのほか、ハリアー、シーハリアーなどジェット戦闘機とともに、徴用されたコンテナ船MVアトランティックコンベア号の甲板にぎっしりと詰め込まれ、そのうちの1機は途中のアセンション島に降ろされた。

しかし、アトランティックコンベア号は南大西洋の目的地に到着するやいなや、英国海軍の空母を狙っていたエグゾセ対艦ミサイル2発に襲われる。この攻撃で12人の水兵が死亡し、船は炎上。載せていた航空機はすべて使用不能に陥った。3機のチヌークが破壊されたが、コードネーム「ブラボー・ノーベンバー」の1機はたまたま飛行テスト中で、被害を免れた。

この機は近くの空母HMSエルメスに着艦したものの、スペア部品や整備用具をすべて失ったため、当初の想定よりもはるかに困難な仕事に就くことになる。しかし、紛争が終わるころには飛行時間100時間以上、1500人の兵士と550トン以上の貨物を輸送し、95人の負傷者を避難させ、その真価を見せつけた。

こうした活躍から、現在も第一線で活躍するRAFのブラボー・ノーベンバーには「ザ・サバイバー」という愛称が特別につけられている。

2021年、CH-47チヌークは60歳の誕生日を迎え、同時にRAF導入40周年を迎えた。フォークランドからバルカン半島、中東まで、チヌークは1982年以来RAFのあらゆる戦場で活躍してきた。この記事を書いている間にも、マリでフランスの対テロ活動を支援している。

機体は非常に耐久性が高く、RAFが購入した70機のチヌークのうち、60機以上がまだ現役である。修理やアップグレードが(必ずしもスムーズではないが)行われ、その実用性と寿命の長さから、昨年初めに14機を新たに発注している。チヌークは、現役として100歳の誕生日を迎える最初のヘリコプターとなる可能性があるのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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