第6次EVブーム到来 EVブームは過去に何度も 歴史を振り返る
公開 : 2022.01.04 08:25
さまざまなメーカーがEVを発売し、EVブーム到来の昨今。実はEVブームは過去に何度も。歴史を振り返ります。
EVブーム 過去に何度も
近年、欧州でのEVシフトの動きをきっかけに、トヨタが350万台のEV販売計画を発表し、ホンダが2040年に100%の電動化を目指すなど、多くのメーカーがEVへ注力する姿勢を見せている。これは、まさに「EVブーム」と呼んでよい状況だろう。
しかし、そんなEVブームは、今回が初めて起きたものではない。自動車の発明から現在までの長い歴史の中で、何度もEVブームは発生しており、そして、そのたびに沈静化してきたのだ。
そこで、これまでどのようなEVブームが生まれて消えていったのかを振り返ってみたい。
蒸気自動車/EV/ガソリンエンジン車の三つ巴
最初のEVブームとなったのは1800年代末期から1900年代初頭のこと。
ベンツとダイムラーによるガソリン自動車の発明は1886年であるが、ここで重要なのは、ベンツとダイムラーは自動車を発明したのではなく、「ガソリンエンジン」を搭載する自動車を発明したところにある。
つまり、自動車そのものは、それ以前から世の中を走っていたのだ。
最初に走ったのは蒸気機関で動く蒸気自動車で、1769年にベルギー人のニコラス・ジュセフ・キュニョーが発明したとされている。ベンツとダイムラーのガソリン車よりも120年も前のことだ。
そして、1837年に英国人のロバート・ダビッドソンがモーター駆動する電動機関車を開発。1880年代になると、フランスやイギリス、アメリカで、本格的なEVが次々に作られるようになる。
1894年にはフランスで世界初の自動車レース「パリ・ルーアン」が開催されるが、このレースにエントリーしたのは、蒸気自動車にガソリンエンジン車にEVといった多彩なパワートレインを搭載した自動車たち。
そして優勝を飾ったのは蒸気自動車であったのだ。
また、1899年にはベルギー人のジェナッツィが作ったEV「ジャメコンタント号」が、自動車として初の100km/h超を達成している。
自動車の普及が始まったばかりの1800年代末期から1900年初頭は、まだ「自動車にベストな動力はガソリンエンジン」とは決まっておらず、蒸気自動車とガソリンエンジン車、EV が性能を競いあっていたのだ。
この時代が、まさに最初のEVブームである。
一説によると1900年ごろのアメリカで生産された自動車の約40%がEVであったともいう。
ただし、この最初のEVブームは、ガソリンエンジンの進化で沈静化に向かう。
1908年にはT型フォードが登場し、ガソリンエンジンへの流れは決定的なものとなってしまったのだ。