2021年の新車販売まとめ 10年ぶりの450万台割れ 東日本大震災の2011年以来

公開 : 2022.01.05 20:35

2021年の新車販売の実績が発表。10年ぶりとなる低水準になってしまいました。しかし、半導体不足の改善が、数字にも表れはじめています。

2021年12月もマイナス、6か月連続に

執筆:Naojiro Onuki(大貫直次郎)

半導体などパーツの供給不足が改善されつつある日本の自動車業界。2021年12月の国内新車販売台数は、その事象が数字となって表れた。

12月の登録車の新車販売台数は、前年同月比10.2%減の21万8782台と4か月連続の前年割れ。

スバルは2021年、東南アジアからの部品調達が滞るなど、本工場、矢島工場、大泉工場といった群馬製作所のラインを度々停止することになった。
スバルは2021年、東南アジアからの部品調達が滞るなど、本工場、矢島工場、大泉工場といった群馬製作所のラインを度々停止することになった。    スバル

一方、12月の軽自動車の国内新車販売台数も、同13.6%減の11万7660台と7か月連続での前年割れとなる。

結果として、トータルでの国内新車販売台数は、同11.4%減の33万6442台と6か月連続でのマイナスを記録した(自販連/全軽自協まとめ:速報値)。

ただし、9月の同32.2%減、10月の同31.3%減、11月の同14.3%減と比べると、マイナス幅は着実に縮小している。

2021年の通年(1月〜12月)で見てみると、新車販売台数は、前年比3.3%減の444万8340台と3年連続でのマイナスで、かつ2年連続での500万台割れ。

さらに、450万台を切るのは東日本大震災があった2011年の421万220台以来、10年ぶりのことである。

このうち、登録車は同2.9%減の279万5818台と4年連続のマイナス、軽自動車は同3.8%減の165万2522台と3年連続のマイナスとなった。

登録車 12月の動向 2021年まとめ

登録車の12月のブランド別新車販売台数では、ロッキーのハイブリッドモデルの販売が好調なダイハツが、前年同月比24.7%増の3709台。

一部改良を実施したCX-5CX-3などSUVモデルの受注が好調なマツダが、同17.2%増の1万2308台と2ケタ増を達成。

また、新型ヴェゼルが販売を伸ばすホンダは、同5.0%増の2万2039台とプラスを成し遂げる。

それ以外のブランドはすべてマイナスで、トヨタは同8.2%減の10万7091台、日産は同12.8%減の1万8338台、スバルは同28.4%減の6513台、スズキは同29.6%減の6401台、レクサスは同28.1%減の3663台、三菱は同28.2%減の2845台と苦戦した。

なお、2021年で見ると、前年超えを成し遂げたのはeパワー・モデルの販売が好調な日産、PHEVモデルを拡販した三菱、新型モデルを精力的に市場に放ったレクサスの3ブランドのみで、それ以外はすべてマイナスに落ち込んだ。

2021年の軽 首位はダイハツ 今後は?

軽自動車の12月のブランド別新車販売台数では、前月と同様に全ブランドがマイナスに落ち込む。

そのなかで、前年同月比0.3%減(4万4863台)に抑えたダイハツが、2か月連続でのシェアトップについた。

2021年の軽シェアトップはダイハツ。画像は10周年を迎えたミライースの特別仕様車。年末にフルモデルチェンジされたアルトが発売され、スズキとのシェア争いは2022年も見逃せない。
2021年の軽シェアトップはダイハツ。画像は10周年を迎えたミライースの特別仕様車。年末にフルモデルチェンジされたアルトが発売され、スズキとのシェア争いは2022年も見逃せない。    ダイハツ

最大のライバルのスズキは、同8.9%減の3万8327台と伸び悩んで第2位に位置。一方、ホンダは同10.5%減の2万1893台にとどまる。

また、エアバッグ性能の不具合によりルークスの生産および出荷を停止している日産は同60.0%減の6105台、eKスペース/eKクロス・スペースの生産および出荷を停止している三菱は同41.3%減の1750台と大きく数字を落とした。

さらに、OEM供給を受けるブランドも、トヨタが同24.4%減の1996台、マツダが同22.9%減の1874台、スバルが同34.3%減の847台と2ケタ減を記録した。

一方、2021年度で見ると、前年超えを果たしたのは三菱とトヨタのみで、それ以外のブランドはすべてマイナス。そのなかで、前年比0.7%減ながら53万2702台を販売したダイハツが、7年連続でのブランド別首位に輝いた。

2022年の動向は?

12月の新車販売について業界団体の関係者は、「サプライチェーンの混乱については最悪の状況を脱しつつあり、メーカー側も新型車や人気車の受注残の解消に注力している。その結果が、マイナス幅の縮小につながった」と解説

一方、2021年に関しては「前半から中盤にかけては新型コロナの感染拡大と緊急事態宣言に伴う市況の低迷が、終盤には半導体などパーツの供給不足による大規模な生産調整が起こり、結果的に450万台割れという低落傾向を示した」と指摘する。

今後については、「新型車を中心に受注は底堅く、ディーラーへの客足やオンラインによる商談は堅調に推移している。サプライヤーの生産能力の回復によって半導体などパーツの供給不足も薄れる傾向にあり、主要メーカーは遅れていた納車を進展させる見込みだ」と分析。

「一方、新変異ウイルスのオミクロン株の市中感染が急速に拡大しており、これ以上広まった場合には大都市圏で5回目の緊急事態宣言が発せられて市況の減退および生産の再調整などが起こる危険性がある。原材料価格や輸送コストの高騰に伴う車両価格の上昇傾向なども、後々影響が出てくるかもしれない」と予測した。

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