意外に狭い… トヨタ・ミライ、どれだけ積める? トランク容量を実測評価

公開 : 2022.01.06 19:45  更新 : 2022.01.06 19:50

トヨタ・ミライの荷室を調査。あちこち出っ張っていて、あまり入らなそうです。4つのケースで検証してみました。

2代目ミライの使い勝手は?

トヨタ・ミライのメカニズム解説やドライビング・インプレッションは、多く見かける。しかし、使い勝手という視点の記事は、あまり見ない。

そこで「どれだけ積める?」シリーズにミライに登場してもらい、ラゲッジスペースをチェックしてみることにした。

一番大きいスーツケース(790×530×280mm)、ひとまわり小さいスーツケース(710×425×260mm)を中心に、荷室の使い勝手を調査。……どうも、いつものようには入らないようだ。
一番大きいスーツケース(790×530×280mm)、ひとまわり小さいスーツケース(710×425×260mm)を中心に、荷室の使い勝手を調査。……どうも、いつものようには入らないようだ。    神村聖

本シリーズは、単に荷室を計測した寸法だけの紹介では実感として理解しにくいため、実際の使用を想定してスーツケースを積み込んで確かめている。

サンプルはいつも使っている大・小のケースを使用。

検証は、一番大きいLサイズのスーツケース(790×530×280mm:容量84L)、ひとまわり小さいMサイズのスーツケース(710×425×260mm:容量61L)を基本とする。

ここに機内持ち込みサイズのボードケース(550×400×200mm)と、パイロットケース(540×400×265mm)を組み合わせて容量・積載性を確認している。

ボディサイズ Eセグど真ん中

現行型ミライはボンネットのマスが大きいため1クラス上の存在感を放つ。

実際は全長4975mm、全幅1885mmで、Eセグメントのメルセデス・ベンツEクラスBMW 5シリーズアウディA6とほとんど変わらぬサイズとなる。

トランクのあちこちに出っ張りがあり、有効スペースは小さ目。写真はフロアカバーを外した状態。右端は補器用バッテリーが収納されているため、カバーをするとフロアより85mm高くなってしまう。フロア下は前半分に水素タンクが位置するため、工具が収まる窪みのみで収納スペースはない。
トランクのあちこちに出っ張りがあり、有効スペースは小さ目。写真はフロアカバーを外した状態。右端は補器用バッテリーが収納されているため、カバーをするとフロアより85mm高くなってしまう。フロア下は前半分に水素タンクが位置するため、工具が収まる窪みのみで収納スペースはない。    神村聖

欧米のEセグメント車はどれも広大ともいえるトランクスペースを備えるだけに、ほぼ同じディメンジョンの新型ミライにも期待してしまう。

カタログでは「広くフラットなトランクスペースには、4.9インチのゴルフバッグ3個が収納可能です」と記されていた。

これは結構積めるのではないかと予想された。しかし実際は……どうにも狭い。

ちょっと狭いぞ!

フードを開けるとトランクスペースは、欧州車に見られるスクエアな形状ではなくあちこちに出っ張りがあった。

カタログを見直すと、3つの水素タンクは前席のフロアトンネル内と、後席下、トランク床下に位置する。

Lサイズのスーツケースは寝かせれば横にして入る。その横には、機内持ち込み可のボードケース(550×400×200mm)なら起こして収めることができた。
Lサイズのスーツケースは寝かせれば横にして入る。その横には、機内持ち込み可のボードケース(550×400×200mm)なら起こして収めることができた。    神村聖

さらには後席バックレストとトランクの間には大きな駆動用バッテリーが置かれる。そのためトランクの前後長は削がれ、トランクスルー機構もない。

実際にケースを積み込んでみると、Lサイズのスーツケースは寝かせれば入り、その横にボードケースを起こして収めることができた。

Lサイズのスーツケースの上にボードケースを入れようとしたが、高さが数センチ足らず積めない。

結論 荷室は狭かった

続いて、今度はMサイズのスーツケースで試してみる。

寝かせてトランクに入れると、横にパイロットケースが楽に積め、上にボードケースをギリギリ入れることができた。

Mサイズのスーツケースを寝かせて入れると、横にパイロットケース(540×400×265mm)が楽に積め、上にボードケースがギリギリ入る。
Mサイズのスーツケースを寝かせて入れると、横にパイロットケース(540×400×265mm)が楽に積め、上にボードケースがギリギリ入る。    神村聖

ちなみに実寸値を記すと最大幅は1460mm。

奥行きは最大で750mmあるが、最も狭い部分は680mmだった。荷室高は480mmで、開口部は上辺が1090mm、下は970mmとなる。

チェックを終えてみるとミライの収容力は、欧米のEセグメント内燃車に比べると半分近いサイズだった。

航続距離を得るためには水素タンクの容量を確保する必要がある燃料電池自動車(FCEV)ということで、致し方のない部分といえよう。

トランクリッドのヒンジはダブルリンク・ヒンジ式が採用され、荷室内への張り出しを避けている点は評価したい。

しかし車格を考えると、トランク・クロージャーは欲しかったところだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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