新型 メルセデスAMG SLへ試乗 ドライバー・フォーカスの7代目 +2獲得 前編

公開 : 2022.01.15 08:25

メルセデスを象徴するSLが、ドライバー・フォーカスのモデルへ進化。その仕上がりを英国編集部が確かめました。

ソフトトップと2+2を獲得したSL

7代目に当たる、新型SLが登場した。ラグジュアリー・ロードスターの進化度は極めて大きく、先代からの改良を超える内容が施されている。デザインやエンジニアリングだけではない。パッケージングやパフォーマンスなど、あらゆる面が一新している。

メルセデス・ベンツを代表するモデルだということ考えれば、重視されたモデルチェンジであることは想像がつく。象徴的なガルウイングを備えた1954年の初代SLは、現在においても、モデルラインナップに小さくない影響を与えている。

メルセデスAMG SL 63 4マティック+(北米仕様)
メルセデスAMG SL 63 4マティック+(北米仕様)

R232という型式を持つ新型SLは、ドイツ・シュツットガルト南西に位置する、ジンデルフィンゲンのチームではなく、北東のアッファルターバッハのチーム、AMGが主導となり開発された。SLに込められた熱い想いや、能力をうかがわせてくれる事実だ。

ニュルブルクリンクで磨き込まれたメルセデスAMG GTの開発チームが関わることで、四輪駆動に四輪操舵、アクティブエアロなど、先進的な技術がふんだんに盛り込まれている。ドライバー・フォーカスのSLとして仕上げるべく。

ハリウッドの目抜き通りを流すカブリオレではなく、よりピュアなスポーツカーが目指されている。果たしてその仕上がりは、いかほどだろうか。

7代目SLの特徴といえる1つが、先代の2シーター・レイアウトをやめ、実用的な2+2レイアウトを獲得したこと。またアルミニウム製フォールディング・ハードトップは、往年のSL ロードスターを彷彿とさせる、ファブリック・ソフトトップへ回帰した。

AMG GTへ接近したスタイリング

車載システムやインテリアなど、デジタル化も進展。6代目SLが古びて見えるほど。アストン マーティンヴァンテージ・ロードスターやBMW 8シリーズ・コンバーチブル、ポルシェ911 カブリオレといった競合に対し、優位性を与えることは間違いない。

AMG部門で最高技術責任者を務めるヨッヘン・ハーマン氏は、この7代目に関して次のように述べている。「SLの歴史を振り返ると、常にモータースポーツがそばにありました。新しいモデルでは、そのつながりの再生を目指しています」

メルセデスAMG SL 63 4マティック+(北米仕様)
メルセデスAMG SL 63 4マティック+(北米仕様)

「しかし、近年のお客様は実用性も重視しています。そこでレイアウトを見直し、追加の2つのシートを与えることで日常性を高めています。既存の構造を改めるのではなく、ゼロからの開発に取り組むことが可能でした」

さて、SLを眺めてみよう。スタイリングは、6年前に発表されたメルセデスAMG GTとの共通性を感じられる。キャビンがボディ後方に位置するプロポーションや、前後のデザイン処理などは特にそうだ。

同時に、6代目SLからは距離を取っていることも明らか。フロントマスクで主張する逆台形のパナメリカーナグリルや、絞られたテール周辺のボリューム感などによって、ドラマチックな雰囲気を漂わせている。

ボディサイズは先代より成長。全長は4705mm、全幅は1915mm、 全高は1359mmとなり、それぞれ88mmと38mm、44mm大きくなっている。ホイールベースは、117mm伸ばされ2700mmが与えられた。

ボディ拡幅に合わせて左右タイヤの間隔、トレッドも広げられ、堂々としたスタンスを実現。低重心化にも貢献している。

記事に関わった人々

  • グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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