BMW M3 x アウディRS3 最新の四輪駆動サルーン比較 新世代な高性能 後編
公開 : 2022.01.29 09:46 更新 : 2022.08.08 07:17
歴代で初めて、オプションながら四輪駆動が搭載されたM3。新型へ一新したRS3と、英国編集部が直接比較しました。
もくじ
ー動的能力の個性を自分に合わせられる
ードラマチックに感じさせる5気筒ターボ
ー80km/hほどでも病みつきになるM3
ー活気に溢れ爽快に速い、独自の楽しませ方
ーBMW M3とアウディRS3 サルーン 2台のスペック
動的能力の個性を自分に合わせられる
BMW M3 コンペティションより手頃なアウディRS3 サルーンだが、搭載する技術の複雑さでは負けていない。基本的なドライブ・モードのほかにも、RSトルクリア・モードなど、一度試すべき機能が複数備わっている。
だが基本のモード・メニューではなく、RSインディビジュアル・モードを選び、各コンポーネントを独自に設定した方が筆者好みになるようだ。インターフェイスは、BMWの同等機能ほど扱いやすくはないけれど。
M3の場合は、M1とM2という独自モードに詳細な設定を保存することが可能。ステアリングホイールの重み付けや、コーナーでのスロットル操作によるハンドリング・バランスも調整できる。
ダッシュボード中央のタッチモニターで項目を選び、スライダーをいじるだけ。お気に入りの設定が見つかったら、ステアリングホイールのオレンジ色のトグル・スイッチを長押しすると、設定が記録される。とても簡単で、走行中も一発で選べる。
四輪駆動システムのトルク分配も、安定性重視の前後50:50から、0:100の完全な後輪駆動状態まで変更できる。スタビリティやトラクションの制御の具合も、ドライバーが任意に選べる。
長く乗るほど、M3の動的能力の個性を、自分に合わせて磨き込めるといえる。FR状態のパワースライド・マシンから、季節を問わない落ち着いた高速グランドツアラーまで、その振り幅は相当に広い。
その設定に、四輪駆動のM xドライブも合わせてくれる。複雑だが興味深いクルマだ。
ドラマチックに感じさせる5気筒ターボ
アウディRS3にも、RS1とRS2という独自モードが用意されている。電子的なアシストをオフにする場合は、別のボタンを長押しする必要がある。後輪駆動状態を楽しむには、RSトルクリア・モードのみで許される。BMWと比べると手間だし、自由度も狭い。
直列5気筒ターボのブースト圧を高めに保てば、RS3 サルーンは真剣に走るM3を追い回すことも可能。圧力の上昇と同時に、太いトルクが湧き出る。聴き応えのあるサウンドと相まって、ドラマチックに感じさせてくれる。思わず、ドライバーは笑顔になる。
とはいえ、やや吹け上がりの悪いエンジンは、常に高いブースト圧にあるとも限らない。回転数を問わず、ターボラグは短いながら存在する。3200rpmを超えるまで、RS3は明確にはパワー感が高まらない。
M3の直列6気筒ツインターボは、その間により高回転域へ到達し、先を急いでいる。BMW自慢の6気筒エンジンのレスポンスは白眉。現実世界では、圧倒するほどに速い。
乗り心地は、路面からの入力を上手にサスペンションが吸収してくれ、RS3 サルーンはとても快適。だが、高速域では路面の凹凸に少々敏感。ドライバーの気持ちを、刺激してくれる乗り味ともいえる。
一方のM3は、姿勢制御に秀でている。垂直方向の強めの入力が加わっても、たじろぐことは殆どない。