ホンダS2000 英国版中古車ガイド FRに2.0L VTEC 珠玉の2シーター・スポーツ
公開 : 2022.02.16 08:25
ハイレブのVTECエンジンを搭載したFRロードスター、S2000。今でも歓喜に湧ける夢のクルマだと、英国編集部は評価します。
もくじ
ー50周年記念の珠玉の2シーター・スポーツ
ー期待通りのホンダをまだ手頃に入手できる
ー新車時代のAUTOCARの評価は?
ー購入時に気をつけたいポイント
ーオーナーの意見を聞いてみる
ー知っておくべきこと
ー英国ではいくら払うべき?
50周年記念の珠玉の2シーター・スポーツ
もし革新的な技術力を強みにする、世界的に評価の高い自動車メーカーだとしたら、自らの記念日をどのように祝うだろう。その最適解こそ、ホンダが1998年に発表した、S2000だと思う。
本田技研工業が誕生したのは1948年。彼らはその50周年を記念して、珠玉の2シーター・スポーツカーを作り上げた。低いプロポーションのボディにフロントエンジン・リアドライブのレイアウト、50:50の前後重量配分を備える、理想的なモデルだった。
エンジンは、欧州仕様では8300rpmで240psを発揮する、2.0L 16バルブのVTECユニット。レブリミットは9000rpmという高回転型ながら、穏やかに市街地を流すこともいとわず、アクセルひと踏みでカムを切り替え、雄叫びを楽しむことも可能だった。
最高速度は241km/h。当時のこのクラスとしては驚くほどの速さで、0-97km/h加速は6.2秒とダッシュ力も鋭かった。滑らかに変速できる6速MTに、トルセン式のLSDを備え、そのシズル感は今でも衰えていない。
シャシーは高剛性で低重心化が図られ、トレッドの幅が広く、サスペンションはアルミニウム製のダブルウイッシュボーン式を採用。電動パワーステアリングのレシオも、充分にクイックだ。
タイヤはブリヂストン社製のモデル専用品。デジタルメーターが、ハイテク感を漂わせていた。開閉が簡単なソフトトップも魅力だったが、2002年からはハードトップのGTが欧州に投入されている。
期待通りのホンダをまだ手頃に入手できる
S2000は、公道を素晴らしく楽しい場所にしてくれた。期待通りのホンダだった。
日本車として製造品質は高く、現在でも残存数は少なくない。走行距離は伸びがちだが、オーナーによる不具合の報告は多くなく、維持費も驚くほど抑えられるようだ。
新車当時、S2000は限界領域での挙動が突発的だと指摘されていたし、電動パワーステアリングの感触に不満が出たことも事実。しかし、心地良い天気の日にS2000をオープンで運転すれば、その楽しさに歓喜するはず。
またホンダは、S2000を丁寧に育てた。欧州仕様では2002年と2004年に細かな改良を受け、スプリングとダンパーのレートが変更されている。2006年からはトラクション・コントロールがオプションに加わり、2008年以降は標準装備となっている。
さらに2008年からは、日本市場で提供されていたタイプS用のスプリングとダンパーが、欧州仕様に組まれるようになった。フェイスリフトでフロントバンパーなどのデザインも変更されている。
そんなS2000だが、近年は価格も上昇中。数年前なら5000ポンド程度で探すこともできたが、近年は1万ポンド(約155万円)は用意しなければ難しい。それでも、心の底から楽しめるドライバーズカーを、まだ手頃と呼べる価格帯で入手できる。
今後、価値はさらに上昇する可能性もある。気持ちよく風を受けて疾走できるロードスターという、ホンダからの記念品を入手するなら、今が絶好のタイミングだといえる。