ヒョンデ・ネッソ 水素で日本を走る、現代自動車のFCV サイズ/内装/スペックを解説
公開 : 2022.02.05 17:45 更新 : 2022.11.01 08:41
水素の可能性を握る、もう1台のFCV「ヒョンデ・ネッソ」を解説。日本でも見かける韓国の燃料電池車について、理解を深めましょう。
燃料電池車の新たな選択肢?
2020年から東京エリアで、プロモーションやカーシェアリングを展開している、見慣れないFCVが存在する。
ボディ形状はSUVタイプで、その車体後部には「Fuel Cell」というエンブレムを確認できる。
FCV(燃料電池車)は、20世紀後半からGMやダイムラー・ベンツをはじめ多くの自動車メーカーが市販化を目指して開発してきた。
2002年にホンダ、トヨタが相次いでFCVのリース販売を開始している。
その後、トヨタは2014年にセダンの「ミライ」、2018年にはバスの「ソラ」、ホンダは2016年にセダンの「クラリティ・フューエルセル」を発売。メルセデス・ベンツは「GLC Fセル」をリース方式で日本に投入した。
ミライは2020年に2代目にフルモデルチェンジされ、クラリティは2021年末で生産を終えている。
つまり現在、日本で個人がFCVを純粋に購入しようとするなら、ミライしか選択肢はないことになる。
そこで注目しておきたいのが「ネッソ」という可能性。2018年のCESでワールドプレミアされ、すでに欧米では販売されているヒョンデの世界戦略車である。
意外にグラマー サイズは?
ヒョンデ・ネッソは、日本では2022年1月末時点で未発売だが、先ごろ開催された東京オートサロン2022にも展示されていた。
そのボディサイズは、全長が4670mm、全幅が1860mm、全高が1640mm。
ホイールベースは2790mm(前述のプロモーションで配布されたカタログ値)。
日本で見かけるインポートSUVとしては、ボルボXC60(4690×1900×1660mm、ホイールベースは2865mm)に近いサイズで、東京の街中でも取り回しに苦労することはないだろう。
ボディタイプは、いわゆるSUVに属するが、なだらかなルーフ形状や少し寝かせたリアウインドウなど、クーペSUV風な佇まいも見せている。
なかなかスタイリッシュな雰囲気で、前傾したショルダーラインとボンネットのパワードームにより、グラマラスで力強いフォルムが特徴だ。
水素充填口は、車体の左後ろに位置。ちなみに、車両重量は1870kgだ。
ミライ同等 航続可能距離820km
ヒョンデも21世紀はじめごろからFCVの開発を進めており、2013年には「トゥーソン」をベースにしたFCVを発売した。
だがネッソは、FCV専用モデルだ。
FC(燃料電池)スタックの型式は水素燃料電池で、種類は固体高分子型燃料電池。
これを432個、直列に接続し、最高出力は95kW(129ps)を発生する。燃料となる水素のタンクは3本搭載し、総容積は156.6L。
公称の使用圧力は70Mpaとされ、FCのシステムはフロントのボンネット内に搭載される。
FCが発電した電力を最高出力40kW、容量1.56kWhのリチウムイオンバッテリーに充電し、その電力で永久磁石型同期モーターが前輪を駆動する。モーターの最高出力は、120kW(163ps)、最大トルクは395Nm(40.3kg-m)。
燃料100%充填基準での走行可能距離は、820kmとされている。つまり、理論上は東京から広島市まで一充填で行くことが可能だ。ちなみに、トヨタ・ミライは850kmだ。
日本を走るネッソのハンドル位置は右で、「P」「R」「N」「D」のシフターはボダン式。パーキングブレーキも電動タイプだ。なおネッソの最高速度は179km/hとアナウンスされている。
また、AUTOCARで撮影した車両は、ハンコックのベンタスS1エボ(245/45R19)を履いていた。