ドライバーを満たすPHEV ポルシェ・パナメーラ 4 E-ハイブリッド・スポーツツーリスモへ試乗

公開 : 2022.02.19 08:25

純EVのタイカンの登場で、影の薄くなったパナメーラ。内燃エンジン版の魅力を、英国編集部が確かめました。

タイカンの影に隠れ気味なパナメーラ

年の欧州では、純EVの話題ばかり。ポルシェのパナメーラも、似たシルエットを持つタイカンの影へ隠れ気味に思えるのは、筆者だけではないだろう。

実際、昨年の販売台数にもそれは反映している。純EVのタイカンとパナメーラの2021年の販売台数は、世界全体で4万1296台と3万220台。純EVの方が上回っているのだ。

ポルシェ・パナメーラ 4 E-ハイブリッド・スポーツツーリスモ(英国仕様)
ポルシェ・パナメーラ 4 E-ハイブリッド・スポーツツーリスモ(英国仕様)

しかし同時に、ガソリンエンジンを忘れたくない、という人が少なくないこともわかる。そんな要望へ先駆けて応えるように、2020年にポルシェはパナメーラへフェイスリフトを施している。

スタイリングを磨き込み、パワートレインも改良。日本ではディスプレイオーディオと呼ばれることも多い、インフォテインメント・システムも最新版が与えられている。

さらにエグゼクティブ・モデルのカテゴリーとして、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェのラップタイムも更新された。最高出力680psの、パナメーラ・ターボS E-ハイブリッドで。

今回試乗するのは、パナメーラではプラグイン・ハイブリッド(PHEV)のエントリーグレードに当たる、4 E-ハイブリッド。実用性で有利な、ステーションワゴン・ボディのスポーツツーリスモとなり、英国の一般道での評価は今回が初めてとなる。

操縦性は秀逸 全般的に訴求力は高い

4 E-ハイブリッドが搭載するパワートレインは、3.0L V型6気筒ガソリン・ツインターボエンジンと、8速デュアルクラッチ・オートマティック(PDK)。その間に、駆動用の電気モーターが搭載されている。最高出力はシステム総合で462psに達する。

駆動用バッテリーの容量は17.9kWhで、EVモードの走行可能距離は最長54km。搭載位置は荷室のフロア下で、ホイールベースより後ろ側になる。走行中はエンジンで充電も可能だが、ウォールボックスと呼ばれる家庭用充電器では、3.6時間で満充電にできる。

ポルシェ・パナメーラ 4 E-ハイブリッド・スポーツツーリスモ(英国仕様)
ポルシェ・パナメーラ 4 E-ハイブリッド・スポーツツーリスモ(英国仕様)

例えば、SUVのBMW X5 xドライブ45eの場合、EVモードで96kmほど走れる。他の競合メーカーも、徐々にその距離は伸ばしつつある。この同価格帯のPHEVとしては短めといえるEVモードの走行距離は、4 E-ハイブリッドの数少ないウイークポイントだ。

だがそれ以外、パナメーラ・スポーツツーリスモのPHEVは、全般的に訴求力が高い。システム総合での最大トルクは71.2kg-mもあり、極めてたくましい。280km/hに設定された最高速度も、不足を感じる場面はほぼないだろう。

ステアリングの重み付けも素晴らしく、多くの大型サルーンやステーションワゴンと並べてみても、操縦性は秀逸。これに勝る例を考えてみたが、英国価格約14万ポンド(約2170万円)のBMW M5 CSくらいではないだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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