台数減ってもなぜ儲かる? トヨタ第3四半期決算発表 最高益を記録したワケ
公開 : 2022.02.11 05:45
トヨタが第3四半期の決算を発表。コロナ禍や半導体不足のなかで、順調に利益を出している背景を解説します。
トヨタの強さはどこに?
またしても、トヨタが強さを見せつけた。
ハイブリッド車などクルマの性能についてではなく、企業経営力の話だ。
トヨタが2022年3月期第3四半期の決算発表をおこなった。
それによると、4月から12月までの営業収益は23兆2670億円で、営業利益は2兆5318億円。また、企業としての最終的なもうけとなる「親会社の所有者に帰属する四半期利益」は過去最高の2兆3162円となった。
グローバルでは、まだまだコロナ禍がおさまっておらず、また半導体不足による生産の圧迫などがあるなか、トヨタがもうけを増やしたことには驚かされる。
では、どうしてトヨタのもうけが増えたのか?
決算報告によると、まずは為替変動による円安で4450億円増となった。
一方で、資材高騰の影響で1650億円の減益である。
資材といっても幅広いが、クルマの骨格として購買量が多い、各種の鉄系素材やアルミニウム素材もさることながら、ハイブリッド車など電動車に使用する各種の希少金属などの価格が上昇していることも大きな要因の1つであろう。
そして、最も大きな理由は、やはり販売台数が増えたことである。
それに伴い、金融事業に好影響があるうえで金融事業ではさらなる「カイゼン」をおこない、こうした分野で8750億円の増益となっている。
では、収益増に大きく貢献した販売台数を詳しく見ていく。
台数減っても儲かるワケ
9か月間の連結販売台数は609万6000台となり、昨年の543万8000台から112.1%伸びている。
仕向け地別の内訳を見ると、日本が142万7000台(前期比94.3%)、北米が180万5000台(107.2%)、欧州が76万台(111.9%)、アジアが111万8000台(131.8%)、その他が98万6000台(138.1%)となり、日本以外は前期比と比べて増加した。
ただし、ここで注目したいのは、2019年度の実績だ。
2020年度は、コロナ禍の初期にあたり、中国から始まり、アメリカ、日本、欧州と新型コロナ感染症の影響が拡大し、国によっては自動車販売台数が大きく落ち込んだ。
そのため、2021年度が前期比増となるのは理解できる。
また、日本は海外と比べるとコロナ禍での台数を落ち込みが少なかったことで、前期比ではほぼ同等となっている。
ところが、コロナ禍前の2019年度は、685万8000台で2021年度より台数は多いにも関わらず、先に紹介したようにトヨタのもうけは増えているのだ。
その背景にはいったい何があるのか?
為替変動の要因があることに加えて、例えば中国での金融事業で融資残高が増え、また融資利ざやが拡大するなどの効果がある。
もう1つは、ディーラーの在庫数が減ったが、需要が多いという「売り手市場」になったことで、結果的にインセンティブ(販売奨励金)を低く抑えることができたという側面もあろう。
さらには……。