シトロエンで100%エレクトリック! E-C4試乗 乗り味は「エンジン車以上に個性的」

公開 : 2022.02.12 19:45

シトロエンの電気自動車「E-C4」を日本で試乗。プジョーe2008とも、DS3クロスバックEテンスとも異なる個性を持っていました。

シトロエンのフルEV、日本発売

2022年1月に3代目シトロエンC4とともに日本で発売されたE-C4は、正規輸入されたこのブランドで初の電気自動車(EV)である。

シトロエンがなんでEV? と思う人がいるかもしれない。でもそれは、日本の事情しか知らない意見だろう。

シトロエンE-C4シャイン(ブルーアイスランド)
シトロエンE-C4シャイン(ブルーアイスランド)

カーボンニュートラルが話題になる前から、フランスではベルランゴなどに設定があったし、最近は2人乗りの超小型車アミが注目を集めている。C5エアクロスSUVのプラグインハイブリッド車(PHEV)は上陸済みだ。

シトロエンは独創と革新のブランドであることを考えれば、納得のアクションではないだろうか。

しかも新型C4/E-C4は、プジョー2008やDS3クロスバックと同じプラットフォームを使う。この2車種にもEV版のe2008とDS3クロスバックEテンスがあることを考えれば、E-C4の設定は自然な成り行きと言える。

「パワー・オブ・チョイス」を掲げるグループPSAだからして、E-C4とC4のボディは基本的に共通だ。

2014年発表のC4カクタスの流れをくむクロスオーバースタイルに、1970年デビューのGSを思わせる6ライトのファストバックスタイルを融合させたようなフォルムを持つ。

現在GSを所有し、その前はC4カクタスに乗っていたという経歴を持つ僕でなくても、シトロエンらしい形だと思うはずだ。

サイズ/内装について

ボディサイズは全長4375mm、全幅1800mm、全高1530mmで、高さ以外は同じCセグメントのトヨタカローラスポーツに近い。

しかしホイールベースはそれより長い2665mm。これもシトロエンらしいアピアランスに効いている。

シトロエンE-C4の助手席には、タブレットを固定するスタンドが存在。すぐ下の引き出しは、タブレットを収納できるトレイになっている。
シトロエンE-C4の助手席には、タブレットを固定するスタンドが存在。すぐ下の引き出しは、タブレットを収納できるトレイになっている。

キャビンはまずモダンなインパネに目が行く。

小ぶりなデジタルメーターと大きなセンターディスプレイを据えた眺めは前衛的。

助手席側にタブレット端末を固定できる格納式サポートを用意したのは、すべての乗員に移動の歓びをもたらすこのブランドらしいアプローチだ。

それでいてエアコンスイッチをダイヤルのまま残すなど、人間が扱う道具であることも忘れていないし、エグザンティアの車高調整レバーを思わせる前後進のセレクターレバーが象徴しているように、ヘリテージ性もしっかり押さえてある。

発進/加速 どんな感じ?

他のシトロエンにも採用が進むアドバンストコンフォートシートは、日本仕様のE-C4は革張りがスタンダードなので、腰を下ろした瞬間は張りを感じだが、走り出すと優しさが主体になっていく。

駆動用バッテリーを前後席下とセンタートンネルに収めたおかげで、後席と荷室がエンジン車とほとんど同じというのも嬉しい。

シトロエンE-C4シャイン(ブルーアイスランド)
シトロエンE-C4シャイン(ブルーアイスランド)

前輪を駆動するモーターの最高出力は136ps、最大トルクは26.5kg-mでe2008やDS3クロスバックEテンスと同じ。

車両重量は1630kgだが、最大トルクを300〜3674rpmで発生するので、加速は発進直後から力強い。

別の機会に乗ったディーゼルターボのC4が、慣れ親しんだシトロエンの加速感だったのに対し、音もなく滑らかに速度を上げていくフィーリングは、むしろ常に未来を見据えるブランドイメージにふさわしいと思った。WLTCモードで405kmという満充電での航続距離は、多くの人がこれで十分と思うだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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