Eクラスからのバトンタッチ メルセデス・ベンツEQE 350へ同乗 航続659km 前編

公開 : 2022.02.15 08:25

2022年後半の英国発売が予定される、新型EVのEQE。英国編集部ではひと足早く、後輪駆動の試作車へ同乗しました。

メルセデス・ベンツ6番目の純EV

電動上級サルーンの市場では、モデルSとタイカンで、テスラポルシェが先行している。それに待ったをかけるべく、メルセデス・ベンツが急ピッチに開発を進めているのが、EQEだ。

電気自動車専用のプラットフォーム、EVAをベースとするモデルとして、EQEは2番目に当たる。また2019年のEQC発売以来、同社としては6番目の純EVになる。

メルセデス・ベンツEQE 350 プロトタイプ
メルセデス・ベンツEQE 350 プロトタイプ

EQEは内燃エンジンを載せたEクラスとの並行で販売が予定されており、多様なグレードが用意される見込み。2022年後半に導入が始まる英国市場では、6万5000ポンド(約1007万円)前後がスターティングプライスになるという。

もちろん、EQEは中国でも販売される。彼の地ではシャオペンP7やニオET7といった、現地ブランドの純EVもライバルになる。メルセデス・ベンツにとっても最大の市場なだけに、戦いは有利に運びたいと考えているに違いない。

生産拠点の1つは、ドイツ・ブレーメンの自社工場。加えて中国・北京に拠点を持つ、BAICグループ社との合弁工場でも生産されるという。

実際に筆者がEQEのステアリングホイールを握れるのは、2022年半ばまでは待つ必要がある。今回はドイツ・シュツットガルト郊外で、開発技術者が運転するプロトタイプの助手席へ乗せてもらった。

そこから得られた印象は限定的ではある。だが、最終的には完全に交代するであろうEクラスに対し、極めて訴求力の高い代替モデルであることは間違いなさそうだ。

EQSとの兄弟関係が香るスタイリング

助手席へ乗したEQEは、350というグレード。2021年9月のミュンヘン・モーターショーで容姿は発表済みなため、偽装などは施されていなかった。

外観を眺めれば、純EVのSクラスに当たる、発売済みのEQSとの兄弟関係は明らか。観察するまでもなく、ブラックのパネルで塞がれたグリル部分や、キャブフォワードで弓なりにカーブを描くフォルム、高いウエストラインなどには既視感がある。

メルセデス・ベンツEQE プロトタイプ
メルセデス・ベンツEQE プロトタイプ

それでいて、EQSの縮小版というわけではない。特にデジタルライト・プロジェクターがオプションとなる、ヘッドライトまわりの処理が異なる。EQSではグリル部分の上端にライトバーが走るが、EQEには与えられていない。

リアのオーバーハングは短く、ホイールアーチ直後にエアアウトレット風の処理が施されている。斜めから見ると、EQEの方が抑揚は大きく、筋肉質に感じられる。

見た目で最も大きく異なるのが、後ろ姿。EQSにはリアガラスまで開閉する、大きなリフトバック風のテールゲートが与えられているが、EQEでは居室と荷室とが別れたトランクリッドになっている。リアガラスの角度も起き気味だ。

反面、控え目に載ったテールスポイラーと、左右がつながったテールライトは、EQSのものと重なって見える。

ボディ表面は平滑に仕上げられ、ドアハンドルも通常は格納されるフラッシュタイプ。19インチから21インチまで選べるホイールは空力的に最適化され、アンダーボディもほぼフラットだという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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