料金1日数万円……「高級車レンタカー」誰が使っている? 意外な稼業も

公開 : 2022.02.17 05:45

レンタル料金が1日数万円になることもある高級レンタカーは誰が使っているのか、高級レンタカーの意外な稼業を紹介します。

プレミアムレンタカーは儲かる?

レンタカー・ビジネスの1つに、プレミアムカーというジャンルがある。

メルセデス・ベンツBMWといった輸入高級車やポルシェなどの高額なスポーツカー、そして日本車であればレクサスなどの、プレミアムなクルマをレンタカーとして提供するビジネスだ。

プレミアムカーを取り扱うレンタカーは大都市圏に多く存在
プレミアムカーを取り扱うレンタカーは大都市圏に多く存在    タステック・レンタリース

当然、貸し出しの価格は高くなる。1日で数万円どころか、数時間で数万円になることもある。

しかし、実際にクルマをオーナーとして購入することを考えれば、その利用料金は非常にリーズナブルだ。

そうしたプレミアムカーをレンタルする業者は、大手から中小まで幅広く存在する。

例えばニッポンレンタカーは、ヤナセと組んで、関東、関西、北海道、沖縄にて、プレミアムカーのレンタルを展開している。

レンタカー全体としては北海道や沖縄などのレジャー地の台数が多いようだが、プレミアムカーに関しては、東京や大阪などの都市圏に多くの企業が存在している。

一方で、プレミアムカーのレンタルが苦戦しているという調査もある。

「J.D.パワー2019年レンタカーサービス顧客満足度調査」によると、プレミアムカーの利用は、「全体の2%と非常に少ない」というのだ。

しかも「利用者の満足度は総じて低く、利用したレンタカー会社に対する今後の継続利用意向や他者推奨意向も低い傾向にある」という。

満足度の低い理由としては「1日で数万円ともなる高額な料金のため、顧客側の期待値が自然と高くなり、店舗での画一的なオペレーションと顧客が期待する『プレミアムなサービス』との間にギャップが生まれている」と推測されている。

プレミアムカーを借りるのだから、対応もプレミアムであることが求められるということだ。

B to Bという意外なニーズ

では、プレミアムカーのレンタルは将来性ゼロなのか、といえば、そうとも言えない。

なぜなら、苦戦していると言われながらも、現在もプレミアムカーレンタルは継続されているからだ。

高級車の販売会社や損害保険会社の利用も
高級車の販売会社や損害保険会社の利用も    タステック・レンタリース

では、どこにニーズがあるのか。

それは、プレミアムカーレンタルを実施している会社のホームページにヒントがある。

レンタカーを提供する会社のホームページを見ると、あることに気づく。

それが「法人需要」だ。

エンドユーザーではなく、B to Bのニーズがあるようなのだ。

たとえばオリックスレンタカーも輸入車や高級車のレンタカーを用意する。

しかし、その提供先は、はっきりと「法人のお客さまへ」と明記されており、しかも長期でのレンタルが中心だ。

用途は「社用車・役員車」、「TV・CM・イベント撮影用」、「劇用車として」、「試乗・他車比較用に」とある。

また、とあるレンタカーのホームページにある取引先には、販売会社の名前がズラリと並ぶ。

つまり、高級車の販売会社が、ライバルのクルマを比較するために借りるというわけだ。

さらに取引先企業の中には損害保険会社の名前もある。

その使い道は「代車」だ。

何の代車かといえば、交通事故の代車である。

プレミアムカーのオーナーが、交通事故に遭ったときに使うのが、安い国産コンパクトカーでは不満が出るのだろう。

事故の相手方に代車を用意する場合、使用する必要性と目的が認められれば、事故車両と同等クラスが使用できるという裁判例もある。

そうしたケースで、損害保険会社が手配するのがプレミアムなレンタカーとなるわけだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。

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