ゴージャスに謳歌する ジャガーFタイプ P450 コンバーチブルへ試乗 5.0L V8 SC
公開 : 2022.03.02 08:25
発売から9年が経過した、ジャガーの2シーター・スポーツ。フェイスリフトを受けたロードスターを英国編集部が試乗しました。
大排気量V8 SCにソフトトップ
ジャガーFタイプの発売は、実は2013年にまでさかのぼる。ポルシェが997型を交代させ、991型の911へ置き換えた2年後だった。
数年前にFタイプは本格的なフェイスリフトを受けているものの、ディーラーに並んでから間もなく10年を迎えようとしている。その間に、ポルシェは911を992型へ進化させた。2023年には、その992型にも更なる改良が加えられる予定だ。
一方のジャガーは、X152型Fタイプの後継モデルを計画していない様子。あと数年後に純EVメーカーへなったとしても、スポーツモデルは継承されて欲しいものだ。
今回試乗したのは、大排気量のガソリンエンジンを搭載した、P450のコンバーチブル。AUTOCARでは2020年に、フェイスリフト後の直列4気筒とV型8気筒を搭載したクーペへ試乗している。だがソフトトップを評価するのは、これが初めて。
Fタイプは、英国市場では唯一10万ポンド(約1550万円)を切る、本格的な上級スポーツモデルだといえる。伝統あるブランドが、寿命を伸ばすべくどのように進化させたのか、改めて確かめる機会となった。
果たして、その仕上がりは相当にイイ。ただし、気になる点もゼロではない。
個性的なエンジンと高バランスのシャシー
Fタイプ P450が搭載するのは、P575と同じ5.0LのV型8気筒エンジン。最高出力が571psから450psへ、デチューンされていることが明確な違い。近年はターボチャージャーが主流となっているが、ジャガーらしくスーパーチャージャーで加給される。
その吹け上がりは爽快なまでに軽快。透明感すら感じられる。
深いアクセルペダルのストロークを使い切れば、一気呵成に吹け上がり、肉食動物的に獰猛なパワーを解き放つ。同時につま先で優しく傾ければ、上品な猫のように、慎ましやかに人通りの多い道を流すこともできる。
アストン マーティン・ヴァンテージが搭載する、メルセデスAMG由来の4.0L V8ツインターボも素晴らしいユニットだと思う。だが、ジャガーの個性を上回ることはできない。このエンジンを味わうなら、ルーフは開いて走りたい。
ステアリングの感触は軽く、弾力性のある手応えが心地良い。シャシーの優れたバランスを発揮させ、運転を楽しむことを許してくれる。
ロードホールディング性は、濡れた路面でも気にしないで済むほど、高いわけではない。チャレンジングなルートでは、ポルシェ911やアストン マーティン・ヴァンテージでは感じられない、ボディの動きの重さが顔を出す。
挙動の変化も、常に漸進的というわけではない。限定的ではあるが。