自動車メーカーじゃない会社が作った自動車 34選 前編 カラシニコフからソニーまで

公開 : 2022.02.26 06:05

ソニーがEVを発表して話題を集めましたが、自動車メーカーではない会社が作った自動車は数多く存在します。

業界を騒がせた偉大なる「部外者」たちの物語

ミシンから銃、テレビ、航空機などを製造・販売している会社が、さまざまな理由で自動車を作り始めることがある。業界の常識にとらわれない自由な発想で世界を驚かせることもあれば、何ら違和感なく市場に溶け込みそうな現実的なコンセプトを掲げることもある

そのまま自動車業界で有名になった会社もあれば、無名のまま消えていった会社もある。ソニー、シーメンス、そしてカラシニコフといった会社が作った自動車を紹介しよう。

実際に市販されたものや、まだコンセプト段階のものまで前後編に分かれて紹介する。
実際に市販されたものや、まだコンセプト段階のものまで前後編に分かれて紹介する。

ソニー

ソニーは2020年のCESショーで、「ビジョンS」と名付けたEVを発表した。当時ソニーは、これ以上の計画はないと述べていたが、今年1月のCESで、先のセダンをベースにしたSUV「ビジョンS 02」を発表したのだ。

7人乗りのこの新型車は、最高出力272psの電気モーターを2基搭載しているが、目標航続距離についてはまだ言及されていない。興味深いことに、発表の場でソニーは「EV市場への参入を検討していく」と述べている。

ソニー・ビジョンS 02
ソニー・ビジョンS 02

電機メーカーが自動車市場に参入することは、まったく前例がないわけではない。サムスンは90年代に自動車製造部門を持っていたが、その後ルノーに売却している。

スタインウェイ

1888年、ニューヨークでピアノを作っていたウィリアム・スタインウェイは、ゴットリープ・ダイムラーの社名をライセンスして、ダイムラー・モーター・カンパニーを設立した。つまり、世界にクルマというものが誕生してからわずか3年後に、ダイムラーは米国市場へ参入していたのである。

スタインウェイは自動車製造を始める前の1896年に亡くなり、相続人はダイムラー社の株をゼネラル・エレクトリック社に売却してしまった。1904年になってようやく、メルセデス製のエンジンを搭載した最初の「アメリカン・メルセデス」が製造された。

スタインウェイ
スタインウェイ

アウトスパン・ミニ

アウトスパンは、南アフリカのオレンジ会社だ。1970年代初頭、英国のブライアン・スウェイツ社に欧州向けの宣伝用車両の製作を依頼。カスタムしやすいミニをベースに、オレンジの皮の質感まで再現したリアルなボディをミニのシャシーに装着した。製作された6台のうち、現存するのは3台である。

AUTOCARは2019年に一度だけ、試乗したことがある。車内の雰囲気は、1970年代のティーンエイジャーが思い描く空想の寝室のようだった。窓は1つも開かず、車内は収穫期の太陽のようにどんどん熱くなっていく。

アウトスパン・ミニ
アウトスパン・ミニ

まさかこのオレンジ玉が、普通のミニのように素早くコーナーを曲がれるとは思わなかった。ただ、意欲的にペースを上げていくと(50~60km/h程度でも速いと感じる)、車体の挙動はコークスクリューのように不安定になり、翌朝の新聞の見出しを飾りそうな気配があった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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