モデル3に実用性をプラス テスラ・モデルY ロングレンジへ試乗 航続532km
公開 : 2022.03.22 08:25
秀でた動力性能と航続距離。実用性も高く、純EVクロスオーバーとして優れた総合力を英国編集部は評価します。
モデル3がベースのクロスオーバー
すでに北米市場では、2020年から販売されていたテスラ・モデルY。2年ほど遅れて、英国市場へ右ハンドル車の導入が始まった。日本にも、首を長くして待つファンがいらっしゃるだろう。
モデルYは、4ドアサルーンのモデル3をベースとした、コンパクト・クロスオーバー。優れた実用性を得ているぶん、価格も若干高めに設定されている。
英国のスターティング・プライスは、5万4990ポンド(約852万円)から。今回試乗したロングレンジの場合、6万4990ポンド(約1007万円)となっている。
駆動用バッテリーもモデル3と同じもので、容量は75kWhだと考えられる。ちなみに、テスラは公式には容量を発表していない。駆動用モーターは前後に1基つづ搭載され、システム合計で440psと58.5kg-mを発揮する。
間違いなくパワフルといえ、0-100km/h加速は4.8秒でこなす。開発中のトヨタbZ4X AWDの場合は、6.9秒だ。
純EVらしく、パワーデリバリーは滑らかで即時的。このサイズのクロスオーバーとしては、顔がひきつるほど。四輪駆動だからトラクションに優れる一方で、コーナリングも上々。モデルYの長所の1つといって良い。
車重は2tを超えるものの、とてもスムーズにヒタヒタとカーブを抜けていく。ステアリングホイールへ伝わる情報量は少ないものの、軽めのコンフォート・モードを指定していると特に、積極的に操ろうという自信が湧いてくる。
広くクリーンな車内 気になる硬い乗り心地
もう1つ、モデルYのストロングポイントが実用性。4ドアサルーンのモデル3より全高は181mm高く、全長は50mm長い。車内空間もそのぶん広げられ、リアシート側は特にゆとりを感じる。パノラミック・グラスルーフが標準装備で、開放的でもある。
荷室容量は、リアシートの後ろ側で854Lと大きい。背もたれを倒すと、2100Lという巨大な空間を生み出せる。さらに、フロントのボンネット下には117Lの容量の「フランク」がある。
クルマとしてのパッケージングには優れる反面、気になったのが乗り心地。標準サイズだという19インチのホイールを試乗車は履いていたが、不快なほどではないものの、明らかに硬い印象が拭えなかった。20インチなら、より顕著だろう。
インテリアは、テスラらしく驚くほどクリーンで落ち着いている。メーターパネルがなく、物理的なスイッチ類は、ステアリングホイールのスポーク部分とステアリングコラム程度。ダッシュボードには大画面が1枚のみで、不自然に感じる人もいるかもしれない。
ドアの開閉と、パワーウインドウにはスイッチがある。コラムから伸びる2本のバーには、ウインカーとフロントガラスのウオッシャー、クルーズコントロール、オートパイロットなどの機能が割り振られている。