5年以内に14車種? キア、新たなEV戦略発表 バッテリー生産能力も大幅増強

公開 : 2022.03.04 06:25

キアは2027年までに全14車種のEVを展開し、電動化を加速させる新たな戦略を発表。高性能モデル導入も。

2030年までに120万台のEV販売を目指す

キアは、2030年に世界で120万台のEVを販売することを目標にしており、EVラインナップを大幅に拡大し、自動運転技術の強化を進め、デジタルの収入源も導入する戦略に乗り出している。

この目標は、2年前に発表された電動化戦略をベースにしたもので、兄弟ブランドのヒョンデ(ヒュンダイ)が打ち出した新戦略とほぼ一致している。キアが目指すのは、「グローバルで持続可能なモビリティのリーダー」になることだ。

キアEV9のコンセプト
キアEV9のコンセプト

2030年の主要目標は、BEVを120万台販売すること、自動車全体で400万台販売すること、先進のコネクティビティと自動運転機能を全モデルに展開すること、事業者向けの特定商用車の主要プロバイダーになることの4つである。

キアは2025年に新しいEV用プラットフォームを導入する予定であり、これはさまざまな用途に合わせて拡張可能なものとされている。

全体の販売目標は、2022年の目標315万台から27%増となる。EV、PHEV、ハイブリッド車など、いわゆる「環境にやさしい」モデルがこの成長を支え、販売シェアは現在の17%から2030年には52%にまで上昇させるという。

EVの販売目標としては、2022年に16万台、2026年に80万7000台、2030年には120万台と、これまでの2030年目標から36%増加している。特に需要の高い市場(韓国、北米、欧州、中国など)では、全世界の販売台数の78%を電動化モデルにすることを目指す。

2027年には、EVを全14車種展開する予定。その中にはピックアップトラックも2車種含まれている。

全EVに高性能の「GT」モデル導入

さらに、現行のEV6を皮切りに、すべてのEVモデルに高性能グレードの「GT」を導入する予定だ。性能だけでなく、デザインも標準モデルから「差別化」されたものになるという。

大型SUVのEV9は2023年に欧州で発売される予定で、0-100km/h加速タイム5.0秒、航続距離540kmを実現するという。EV9はキアの市販モデルとして初めて、無線アップデート機能とFoD(フィーチャー・オンデマンド)サービスを搭載し、車両購入後にシステムや機能を追加することができるようになる。これにより、新たな収益源を確保するとともに、生産ラインにおける装備の標準化を進め、生産効率を向上させる狙いだ。

キアEV6 GT
キアEV6 GT

また、自動運転システム「オートモード」も他モデルに先駆けて導入されるとのことだが、その詳細はまだ明らかにされていない。ヒョンデが開発中の自動運転システムと同様に、特定の道路でハンズフリー走行ができるレベル3のシステムになると思われる。

キアは今後も本拠地の韓国を「EVの研究、開発、生産、供給のグローバル拠点」とするが、他の地域の拠点は独自の運営を行ってく。

例えば、欧州の拠点では2025年から中~小型EVに注力し、米国では2024年から中型SUVとピックアップを開発・製造する。2023年には中国に中型EVを導入し、2025年からはインドで「エントリーモデルの中型EV」を展開する予定だ。

バッテリー生産能力については、2030年までに13GWhから119GWhに大幅に増強する計画である。インドネシアの合弁会社や他のグローバル・バッテリーメーカーから調達する予定だが、パートナー企業の名前はまだ明らかにされていない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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