ロシア/ウクライナ情勢 日本の自動車メーカーに与える影響は?
公開 : 2022.03.06 05:45 更新 : 2022.03.19 14:15
ロシアのウクライナへの軍事侵攻により、日本の自動車メーカーにどのような影響があるのか解説します。
対岸の火事ではない
ロシアのウクライナへの軍事侵攻に対して、世界全体が大きな不安を抱いている。
戦争という悲劇のなかで、必死に生きようとしている人々の姿が連日、メディアを通じて報じられている。
日本にとっても、対岸の火事として捉えるのではなく、人道的な対応に誠心誠意つとめるべきだと思う。
一方で、経済の分野でも、日本という国として、また個別企業としてロシア、ウクライナ、そしてその周辺国への対応策を真剣に検討するべき時期である。
そうした中、自動車産業界でも3月に入ってから新たな動きが出てきた。
ロシアでの販売台数が少ないホンダ
まず、ホンダについて、テレビや通信社などが「ロシア向け四輪や二輪車の輸出を一時停止することが明らかになった」と報じた。
理由については、経済制裁という直接的な面ではなく、ロシアの金融市場の混乱によりロシア現地での決済や資金の回収が難しくなったからなど、としている。
そもそも、ホンダのロシア市場での事業規模は限定的で、コロナ禍の2020年販売実績は約1500台とかなり少ない。
一部報道では、ホンダは販売台数が限定的であることから、ロシア市場からの撤退を含めた対応策を、今回のウクライナ軍事侵攻の前から検討していたとも伝えられている。
では、トヨタはどうか?
ロシアに工場をもつトヨタの決断
トヨタは2022年3月3日、「ロシア事業(現地生産・車両輸入)について」というプレスリリースを出した。
それによると、現地法人ロシア・トヨタは、部品の供給不足などの問題によって、3月4日から当面の間、ロシア第二の都市であるサンクトペテルブルグにある最終組立て工場での稼働を停止するという。
同工場では、ロシア市場向けとしてカムリとRAV4を生産している。
そのほか、日本などからのロシアへの完成車輸入についても当面の間、停止する。
現在、ロシア・トヨタは同国内に、168の販売/サービス拠点を持つが、ロシアの消費者に直接的な影響が及ぶことになる。
また、ウクライナではロシアの軍事侵攻の影響で、2月24日から同国内のサービスと販売拠点のすべてである37拠点で事業を停止している。
他のメーカーでは、三菱やマツダについても、日本からのロシアへの部品輸出などを一時停止する動きがあるとの報道がある。
こうした一連の動きは、あくまでも現地での部品調達が難しくなることや、金融市場の混乱などが根拠とされている。
今後は、ロシアに対する経済制裁という観点から、日本の自動車メーカー各社でつくる業界団体の日本自動車工業会としては国と連携して、自動車メーカーが共同歩調をとるかどうかの方向性を示すことが必要になるだろう。