「アイオニック5」は、ヒョンデ(現代)の切り札になるのか? 日本で触れて分かったこと

公開 : 2022.03.15 19:25

韓国ヒョンデが、日本市場に投入するEV「アイオニック5」。なぜ、ZEVだけで再参入したのでしょうか? 実車を走らせて考えましょう。

再参入の本命が、ZEVなワケ

執筆:Hajime Aida(会田肇)

“ゼロエミッション(ZEV)”を掲げて12年ぶりに日本市場へ再参入する韓国の現代(ヒョンデ)自動車。

投入するその第一弾は、BEV(バッテリー電気自動車)『アイオニック5』と、FCV(燃料電池車)『ネッソ』の2車種で、その主力となるのがアイオニック5だ。

ヒュンダイ改めヒョンデのEV「アイオニック5」。リアビューは一度で覚えられる個性がある。
ヒュンダイ改めヒョンデのEV「アイオニック5」。リアビューは一度で覚えられる個性がある。

予約はすべて自社サイト内でのオンラインでのみ扱われ、スタートは5月、デリバリーは7月を予定している。ここでは主力モデルのアイオニック5の実力についてレポートしたい。

韓国車は日本でこそ総じて評価が低めだが、グローバルでは想像以上に評価が高い。

とくにKIAを傘下に持つ現代自動車グループは世界5位の生産台数を誇り、アメリカではホンダを上回る勢いだ。

そうした中でヒョンデが実績を思うように伸ばせないでいるのがアジア地区。中でも日本は12年前に乗用車市場から撤退し、それ以降、再進出の機会を窺ってきた。

ただ、日本車と同じ土俵で乗り込んでも12年前の轍を踏むことにもなる。

そこで今後の伸びしろがあって、日本車が手薄なZEVに絞り込むことで再進出を狙うことにした。これは相次いでZEVを投入している欧州の輸入車勢と戦略としては似ている。

最大の違いは販売やメンテナンスの手法で、ヒョンデはディーラー網を持たず、メンテナンスも協力工場と提携するのみ。これで本当に日本のユーザーから信頼が得られるのか。ここが今回最大のチャレンジと言えるだろう。

実車の注目点 内外装をチェック

そうした中で投入されたアイオニック5を試乗したわけだが、その完成度の高さには正直驚かないではいられなかった。

なにせ、その開発のほとんどは欧州の開発部門が担当したそうで、デザインも欧州だ。

日本再参入発表会に登場した「アイオニック5」
日本再参入発表会に登場した「アイオニック5」

逆Z型のプレスラインを持ったサイドビューは一度見たら忘れられない独創性を伝え、前後のLEDランプのデザインも「パラメトリックピクセル」と呼ばれるデジタルピクセルに“アナログな感性”を加えたユニークなもの。

とくにリアエンドは方眼をあしらった個性豊かさで、後続車からの注目度も相当に高いはずだ。

インテリアも質の高さで評価が高い欧州勢と比較しても遜色ない。

運転席に座れば明るく開放感があってクルマの四隅もしっかりと把握できる。

ダッシュボードは水平基調のシンプルなデザイン。そこに大型で見やすい12.3インチのナビゲーション+12.3インチのフル液晶デジタルメーターが並んで収まる。

物理スイッチは必要最低限に抑える一方で、素材からして高品質で触れた感触がとても居心地がいい。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事