北米頂点の1台 キャデラックCT4-V ブラックウィングへ試乗 BMW M3を迎え撃つ

公開 : 2022.03.30 08:25

キャデラック渾身のBMW M3キラーが登場。北米のスポーツサルーンの頂点を、英国編集部が評価しました。

3.6L V6ツインターボで478psと61.4kg-m

GMの上級ブランド、キャデラックからCT4-V ブラックウィングが発売された。アルファ・ロメオジュリア・クアドリフォリオにBMW M3 コンペティション、メルセデスAMG C 63Sといった、欧州の高性能サルーンを迎え撃つために。

基礎骨格をなすのは、ATS-Vも採用したアルファ・プラットフォーム。先日ご紹介したCT5-V ブラックウィングと同様に、ガソリンエンジンを積んだスポーツサルーンの最後を飾るべく、不備のない内容が与えられている。

キャデラックCT4-V ブラックウィング(北米仕様)
キャデラックCT4-V ブラックウィング(北米仕様)

全長4755mm、全幅1816mm、全高1422mmと、ボディサイズはBMW M3と同等。そのフロントへ、3.6LのV型6気筒ツインターボ・エンジンが搭載されている。

インテークやエグゾースト、潤滑系統が再設計され、ターボも新しい。最高出力は478ps、最大トルクは61.4kg-mを発揮する。

トランスミッションは、フォードとの共同開発となる10速オートマティックか、6速マニュアルが選択できる。すべてのパワーは、電子制御のリミテッドスリップ・デフを介し後輪へ伝わる。四輪駆動はない。

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式で、リアが5リンク式。ダンパーには、GM最新の第4世代となるマグネティックライド・アダプティブダンパーが組まれる。

ホイールは、ファッション性重視の大径サイズは見送られた。賢明な18インチのホイールに、専用開発のミシュラン・パイロットスポーツ4Sタイヤを履く。

0-97km/h加速3.9秒でライバルを凌駕

キャデラックとしては珍しく、シボレーのモータースポーツ・シーンでの活躍も巧みに活用。約82万円のオプション、エアロダイナミクス・パッケージが用意された。

カーボンファイバー製のフロント・スプリッターやリアデュフェーザー、大きなリアスポイラーなどでボディが武装される。その結果、高速走行時の揚力を最大214%も減らすことが可能だという。

キャデラックCT4-V ブラックウィング(北米仕様)
キャデラックCT4-V ブラックウィング(北米仕様)

特に、その名の通り高く跳ね上がった黒いリアウイングは、CT4-V ブラックウィングの後ろを追う者へ威圧感を与えるのに充分。4本出しのマフラーも、迫力満点だ。

ブレーキは、フロントに6ポッド、リアに4ポッド・キャリパーを備えるブレンボ社製。兄貴分のCT5-Vとは異なり、カーボンセラミック・ディスクは選べない。それでも、制動力の力強さは、最新のシボレー・コルベットに迫る。

多くのアップデートの結果、運動神経は相当に高められている。0-97km/h加速は10速ATで3.9秒が主張され、同じく後輪駆動のBMW M3 コンペティションの4.2秒を凌駕。最高速度は、304km/h以上に届くという。

北米でのCT4-V ブラックウィングの価格は、5万8995ドル(約678万円)から。BMW M3 コンペティションの価格と性能を考えれば、バーゲンプライスといわざるを得ない。

実質的に選ぶべきオプションも、エアロダイナミクス・パッケージ程度。6速MTは、無料オプションだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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