GLS級の純EV 7シーター開発中 メルセデス・ベンツEQS SUV 523psの試作車へ試乗
公開 : 2022.03.29 08:25
純EVの大型モデル、EQSに7シーターのSUVが登場します。氷上コースで、英国編集部が試作車を味見しました。
2022年末発売の純EV 7シーターSUV
メルセデス・ベンツは、冬の時期に極寒のスウェーデンで開発テストを実施している。先日ご紹介したEQEのプロトタイプも、デジタルシステムの開発現場へお邪魔しての試乗だった。
そのテストコースに用意されていたのは、1台ではなかった。筆者に大きな驚きを与えてくれた、EQS SUVの試作車にも試乗が許されたのだ。
まだら模様に偽装が施されたクルマは、2022年末に欧州で発売される、純EVの7シーターSUV。電気自動車用のEVA2プラットフォームをベースにしたメルセデス・ベンツとしては、3台目に当たる。
生産は、アメリカ・タスカルーサ工場が予定されている。2023年に控えている、ひと回り小さいEQE SUVも、同じ工場で組み立てられることになる。
このEQS SUVは全長5200mmを超え、同社の純EVサブブランド、EQのラインナップとしては最大のモデルになる。また、ラグジュアリー・ブランドのマイバッハからも、これをベースとした豪華版が計画されているという。
ちなみに、フォルクスワーゲン・グループにあるロールス・ロイスからも、純EVのスペクターが登場予定。純EVは、トップクラスの戦いも熱くなりそうだ。
試乗させていただいたEQS SUVには厚い偽装が施され、具体的なスタイリングを確認できなかった。少なくとも、パワートレインなどを共有するサルーンのEQSより、ロングでワイドなことは間違いない。
短いボンネットに長いホイールベース
プロポーションは、従来の内燃エンジンで走るSUVとも異る。ボンネットは明らかに短く、オーバーハングも短く、ホイールベースは長大。巨大な車内空間を生み出している。ホイールは21インチを履いていたが、オプションで22インチも選べるという。
「(既存モデルからの)コンバージョン・デザインではありません。妥協なく、イチから開発しています」。と説明するのは、EVA2プラットフォームのモデル開発を率いる、ホルガー・エンツマン氏。GLCがベースの、EQCとの違いを示唆しているのだろう。
スタイリングは、黒いパネルで塞がれたフロントグリルやクラムシェル形状の固定ボンネットなど、サルーンのEQSに通じる部分もある。しかし、ウインドウ・フレーム付きのドアやサイドシルのランニングボードなど、異なるディティールも多い。
このランニングボードは、滑らかな気流を生み出し、空力特性を向上させる機能もあるという。SUVらしい見た目を作るだけではないそうだ。
EQS SUVには、高性能なメルセデスAMG仕様を含む、5グレード展開が計画されている。試乗したプロトタイプはEQS 580 SUVというグレード名で、中間に相当すると考えられる。
駆動用モーターは2基搭載され、システム合計で523psと86.9kg-mを発揮する。サルーンのEQS 580より若干パワフルだが、それより重たい2600kgの車重へ対応するためだと、エンツマンは話していた。