英米オフローダー比較 フォード・ブロンコ x ランドローバー・ディフェンダー 尊重したい独自性 前編
公開 : 2022.04.09 09:45
北米で愛されてきたブロンコが一新。英国オフローダーの代表、ディフェンダーとの個性の違いを、英国編集部が確かめました。
SUVライクに付き合える新型ブロンコ
AUTOCARの読者にも、少なからずオフローダーのファンがいらっしゃると思う。もしまだなら、北米フォードのブロンコ・サイトへアクセスしてみて欲しい。眺めているだけで、楽しい気分にしてくれる。
フォードが1996年まで生産していた、先代のブロンコ。新型は、1960年代から1970年代に名を馳せた初代を彷彿とさせるスタイリングで、見事な復活を果たした。モデルラインナップのなかで確固たる地位を得るであろうことは、想像に難くない。
2ドアか4ドア+テールゲートのボディに、取り外してオープン状態にできるハードトップ。直線的なラインでありながら、エッジが丸められたタフなルックスは、鮮やかなボディ色やオフロードタイヤとのマッチングも素晴らしい。
どこか懐かしく、どこか可愛らしい。ビッグエンドやワイルドトラックといった、トリム・パッケージ名も洒落ている。
現代的なモデルとして、先代からの変化も大きい。これまで欠けていた実用性が追加され、SUVライクに付き合うことを可能としている。同時に、ドアとルーフを取り外せば、いかにも走破能力に長けたオフローダーという見た目にもなる。
セパレートシャシーは中型ピックアップトラック、フォード・レンジャーのものがベース。もちろん四輪駆動で、過酷な悪路に対する準備は万端といえる。
フォードによるジープ・ラングラーへの回答
その能力を探るべく、試乗車として用意したのは4ドアのブロンコ。トリムグレードは中間に当たるアウターバンクスとなる。ハードトップのほかに、部分的に開くことができるソフトトップも用意されており、今回はこちらだ。
控えめなホイールに地味なボディカラーだから、ブロンコ本来のイメージとは少し違うかもしれない。ワイルドなオフロードタイヤを履かせて、アフターマーケット・パーツで着飾れば、見違えるだろう。
新しいブロンコは、アメリカの元祖オフローダー、ジープ・ラングラーに対するフォードからの回答でもある。北米での価格設定を見ると、強く意識されていることがわかる。
初代のジープは、第二次大戦時に開発された軍用車両だった。質実剛健な小型車だったが、終戦後は平和の自由を楽しむべく、実用性や快適性が追加されていった。ブロンコが一度姿を消すなかで、現在まで絶えず進化を重ねてきた。
北米では手頃な価格が付けられているブロンコだが、英国の公道を走るために交通法規へ合わせた改良と、型式認証試験の通過が必要になる。関税も必要だ。結果として、あまり台数が見込めないブロンコは、正規ディーラーでの販売が見送られた。
しかし、ロンドンに拠点を置くカーディーラー、クライヴ・サットン社が、並行輸入で英国の道を走れるようにしてくれた。今回の試乗車の価格は、7万5000ポンド(約1200万円)だ。同様に日本でも、並行輸入で入手することはできる。