1.5Lターボ+190psモーター 日産キャシュカイ(デュアリス) e-パワー 試作車へ英国試乗 

公開 : 2022.04.11 08:25

優れたクロスオーバーがシリーズ式ハイブリッドを採用し、実力を一層向上。鍵は価格だと、英国編集部は評価します。

従来の課題を解決するシリーズ式HV

自動車メーカーは、市民の声を取り入れようと努めている。新モデルの発売直前まで改良を重ね、最善を尽くそうと力を注いでいる。

日本でデュアリスという名で売られていた日産キャシュカイは、欧州市場では3代目へ進化。日本で売られていないことが不思議に思えるが、最新型は、とても優れたファミリー・クロスオーバーだ。

日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー・プロトタイプ
日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー・プロトタイプ

シャープなスタイリングはカッコいいし、装備も充実している。われわれの日常生活に、とてもスマートに馴染んでくれる。

一方で、インフォテインメント・システムは時代遅れといわざるを得なかった。トランスミッションはMTとCVTが選べたものの、1.3Lターボガソリン・エンジンの能力も、褒めにくいものといえた。

2021年にキャシュカイへ試乗した際は、滑らかで強力なハイブリッドが載れば、素晴らしいパッケージに仕上がるだろうとまとめていた。そんな意見に、日産は耳を傾けてくれたのかもしれない。この度、e-パワーと呼ばれるシステムが導入された。

欧州市場では、シリーズ式ハイブリッドを採用する量産車は、キャシュカイが唯一となる。各自動車メーカーから様々なハイブリッドが販売されているが、このシステムは日産独自といっていい。

1.5L 3気筒ターボに190psの駆動用モーター

e-パワーには、従来的な内燃エンジンが搭載されているものの、機械的にタイヤを駆動することはなく、発電機だけを回転させる。その発電機で得られた電気をバッテリーに蓄えつつ、駆動用モーターがタイヤを回し、走行するという仕組みだ。

その発電専門のエンジンは、クランクシャフトのアジャスターによる可変圧縮比技術を採用した、1.5L 3気筒ターボガソリン。インフィニティが北米市場向けに導入をスタートさせ、今回欧州市場にも入ってくることになった。最高出力は158psを発揮する。

日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー・プロトタイプ
日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー・プロトタイプ

ちなみに日本では、セレナなどのe-パワーには1.2L 3気筒エンジンが採用されている。

一方で、タイヤを駆動するのは最高出力190psの電気モーター。一時的に電気を蓄えるため、実容量で1.85kWhの駆動用バッテリーも積まれている。プラグイン・ハイブリッド(PHEV)以外のシステムとしては、大容量な方だ。

日産が主張するe-パワーのメリットは、電気モーターで走れる一方、時間の掛かる充電の手間がないこと。充電器を設置する必要もないし、今まで通り、ガソリンを補給するだけでいい。ユーザーの歩み寄りがいらないシステムだと説明している。

実際、キャシュカイ e-パワーを運転した印象は、とても魅力的なものだった。同時に日産が主張するほど、電気自動車らしいとも感じなかった。よく煮詰められているが、しっかりハイブリッドだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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