爽やかなほど小さく軽い トヨタ・アイゴX 1.0へ英国試乗 シンプルなシティカー

公開 : 2022.04.19 08:25

クロスオーバー風の見た目へ一新した欧州の小型車、アイゴX。シンプルなパッケージの魅力を英国編集部は評価します。

ヤリスと同じGA-Bプラットフォーム採用

クロスオーバー風のスタイリングに生まれ変わったトヨタ・アイゴには、電動化技術がまったく採用されていない。それはなぜか?と尋ねれば、クルマが重くなるから。単純な答えだ。

たとえマイルド・ハイブリッドであっても、アイゴのベーシックなコンセプトを害してしまう。ボディサイズは大きくなり、製造コストが増え、価格へ跳ね返ってくる。

トヨタ・アイゴX 1.0 エクスクルーシブ(欧州仕様)
トヨタ・アイゴX 1.0 エクスクルーシブ(欧州仕様)

欧州トヨタで研究開発部門を率いるシニア・プロジェクトマネージャー、ステイン・ペータース氏によれば、同等のモデルを純EVで作るなら、今より500kg近く増えてしまうらしい。新しいアイゴXの車重は、965kgと軽い。

そんなアイゴXのパッケージングはシンプル。1.0L 3気筒エンジンをフロントに搭載し、前輪を駆動している。全体の部品のうち、約50%は他モデルとの共有。プラットフォームはひと回り大きいヤリスも採用する、GA-Bを用いている。

ハイブリッドに関わる装置が載らないぶん、パワートレインはコンパクトになり、前後のオーバーハングは極端に短い。全長は3700mm丁度。それでも、フォルクスワーゲンUp!より100mmも長いのだが。

2022年のニューモデルらしく、ルックスは車高の高いクロスオーバー風。だが実際は、ベーシックな都市部向けのコンパクトカーだ。着座位置は先代より55mm持ち上げられ、視点も高くなり、混雑した市街地の交通状況も掴みやすい。

良好な視界に充実した運転支援システム

ダッシュボードの中央には、最新モデルらしく9.0インチのタッチモニターが収まる。Aピラーの位置が手前側で、前方の視界も良好。エアコンの操作には実際に回せるノブなどが残されていて、操作性も良い。

リアシート側の空間は限定的だが、ボディサイズを考えれば当然ではある。Cピラーが分厚く、試乗したバルセロナのように良い天気でも、メランコリックな気持ちになるかもしれない。

トヨタ・アイゴX 1.0 エクスクルーシブ(欧州仕様)
トヨタ・アイゴX 1.0 エクスクルーシブ(欧州仕様)

フロントシートは肉厚で、後ろより遥かに座り心地が良い。足元空間にもゆとりがある。ルーフには、後方へたためるキャンバストップもオプションで装備できる。フレームの構造で頭上空間に制限は出るものの、開けば開放的な気分を味わえる。

衝突被害軽減ブレーキに知的なアダプティブ・クルーズコントロール、オートハイビームなど、運転支援システムもふんだん。運転が苦手だと感じる人には、特に心強いはず。

試乗車のトランスミッションはCVTで、0-100km/h加速時間はマニュアルより0.1秒短い、14.8秒とのこと。ロケットのように加速するハッチバックではないが、穏やかにアクセルペダルを踏んでいる限り、低回転域を活用し印象は良かった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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