ベーシックでもすこぶる楽しい フォード・フィエスタ 1.0エコブーストへ試乗 小変更

公開 : 2022.05.10 08:25

欧州のAセグ・ハッチバックで、運転の楽しさをリードするフィエスタ。人気の再燃を目指し、リフレッシュを受けました。

かつては英国で1番売れていたフィエスタ

英国で1番売れているクルマ、といえばかつてはフォード・フィエスタを指していた。だが、最近は様子が違う。2021年は、トップ10入りすらしなかった。コンパクトSUVのプーマが登場したことで、英国フォード内でも売れ行きは伸び悩んでいる。

半導体不足という影響もあったようだ。入手できた部品は、収益性で勝るプーマへ優先的に割り当てられていたという。

フォード・フィエスタ 1.0エコブーストmHEV STライン・ヴィニャーレ 5ドア(英国仕様)
フォード・フィエスタ 1.0エコブーストmHEV STライン・ヴィニャーレ 5ドア(英国仕様)

そんな低迷気味のフィエスタだが、モデルライフ中期のフェイスリフトが施された。半導体の供給が復活した暁には、再びセールスチャートの上位へランクインできるように。

といっても、手が加えられた部分は限定的。従来からフィエスタは、Aセグメントのハッチバックとして、最もドライビングを楽しめるモデルといえた。その魅力を変えることなく、ささやかにリフレッシュされている。

スタイリングで新しくなったのは、フロントまわりが中心。ボンネットの造形が新しくなり、ヘッドライトとフロントグリルもデザインが改められている。ブルーオーバルのロゴの位置も変更された。

ボディには新色が用意され、ホイールのデザインも更新。トリムグレードのラインナップも見直された。シャシーまわりで、機械的な変更は加えられていない。そのため、従来からの優れた操縦性はそのまま。エンジンのラインナップにも変更はない。

どんな速度でも運転の喜びを与えてくれる

コンパクトなフィエスタを動かすのは、1.0L 3気筒ターボガソリンで、最高出力100ps版がエントリーグレード。ベルト駆動のスターター・ジェネレーター(ISG)付きの、125ps版と155ps版のマイルド・ハイブリッドが、それに続く。

今回試乗したのは、155psのマイルド・ハイブリッドだ。ダイナミックな前輪駆動のハッチバックという、飾らない特徴がうれしい。秀でた操縦性は、どんな速度でもドライバーに喜びを与えてくれる。

フォード・フィエスタ 1.0エコブーストmHEV STライン・ヴィニャーレ 5ドア(英国仕様)
フォード・フィエスタ 1.0エコブーストmHEV STライン・ヴィニャーレ 5ドア(英国仕様)

近所のカーブでも、気張った運転をしなくても、運転する楽しさを味わわせてくれる。タイトな身のこなしが、快適な乗り心地を犠牲にしてもいない。

古い舗装の隆起部分などは巧みに吸収し、車内へは粗野な振動を伝えない。それでいて、タイヤと路面との関係を、正確にドライバーへ伝えてくれる。これほど洗練されたシャシーを備えるライバルは、存在しないといっていい。

この印象を増長させているのが、1.0Lの3気筒ターボエンジン。パワフルなだけでなく、個性という点でも秀でている。2000rpm近くまで回せば不満のない動力性能を発揮しつつ、特徴的なビートをベースに熱狂的なサウンドも放つ。

不要なエネルギーを電気へ変換し、加速時にアシストするマイルド・ハイブリッドも組み合わされている。微量とはいえ、ガソリンの消費量も減らしてくれる。今回は比較的積極的に運転しても、18.0km/L近い燃費を得ることができた。

試乗車の6速MTも、ベストマッチ。滑らかに変速することが可能だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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