英政府 ゼロ・エミッション車の販売比率引き上げを検討 2024年までに22%以上

公開 : 2022.04.12 18:05

英国政府は、新車販売におけるゼロ・エミッション車の比率を引き上げる方針。業界団体はこれを歓迎しています。

販売の2割強をゼロ・エミッション車に

英国政府は、2024年までに商用車(バンなど)を含む国内新車販売台数におけるゼロ・エミッション車の比率を引き上げる方針だ。国内の自動車業界団体は、これを歓迎する意向を示している。

この計画は、自動車メーカーに対し2024年までに全販売台数の22%以上をゼロ・エミッション車にするよう求めるものだ。定められる比率は、2030年には80%、2035年には100%に増加する。

英国の業界団体は政府計画を支持する一方で、消費者への購入補助金やインフラ整備を強化するよう求めた。
英国の業界団体は政府計画を支持する一方で、消費者への購入補助金やインフラ整備を強化するよう求めた。

英国自動車製造者販売者協会(SMMT)のマイク・ホーズCEOは、この動きは「世界の主要市場の中で最も意欲的なもの」だと述べている。

一方で、こうした義務化は、市場や英国内への製造投資にとって「拘束具」にならないようにする必要があると警告。また、EVの販売価格が高いため、消費者に対する購入補助金・奨励金が欠けていることも課題として指摘した。

ホーズは次のように述べている。

「危険なのは、消費者がこれらの新車を購入するインセンティブを失い、より汚染度の高い古いクルマをさらに長く乗り続けることで、この規制が実現しようとしている炭素削減の機会が損なわれることです」

「市場の変革は、義務化とインセンティブが一致したときに最も速く機能することが証明されています。クルマの電動化には、インフラ整備に対する相応の拘束力のある目標も必要です」

「自動車業界は、英国の道路ですでに一般的になりつつあるゼロ・エミッション車に対し、何十億ポンドもの幅広い投資を続けています」

英国における2021年の新車販売台数のうち、ゼロ・エミッション車はわずか12%だった。しかし、販売は徐々に拡大し、2019年から2020年の間に122%、2020年から2021年の間にさらに97%増加した。

政府が計画する2024年以降の販売比率は以下の通り。

●英国政府計画:ゼロ・エミッション車の新車販売比率
2024年:22% 2025年:28% 2026年:33% 2027年:38%
2028年:52% 2029年:66% 2030年:80% 2031年:84%
2032年:88% 2033年:92% 2034年:96% 2035年:100%

政府「法的拘束力のある年間目標を」

英国政府は、2035年までにすべての新車をゼロ・エミッションにすることを目指している。2030年からはガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止するが、自動車メーカーは「SZEC(Significant Zero-Emission Capability)」と呼ばれる一部のハイブリッドモデルを販売することができる。

ハイブリッド車は2035年まで販売できるものと思われるが、政府は現時点でSZECを正確に定義することはできないと述べている。

新たな政府計画は夏までに形になるだろう。
新たな政府計画は夏までに形になるだろう。

政府によると、この目標は、エネルギー供給会社、自動車メーカー、充電ポイント運営会社を含む「セクターに対して確実性を提供する」ものであるという。計画は4月7日から6月10日まで協議期間が設けられている。

政府は次のように述べている。

「我々の現在の提案は、メーカーが2035年まで達成しなければならない法的拘束力のある年間目標を設定することである」

「これは、自動車メーカー、エネルギー供給会社、充電ポイント運営会社を含むこのセクターに確実性を与えるものである。しかし、どのような法律でもそうであるように、我々は常に見直しを行い、市場環境の著しい変化に対応するために、この法律を修正する権利を留保する」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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