日産 新たなスポーツモデルの投入「検討中」 鍵を握るは固体電池 欧州幹部が語る
公開 : 2022.04.15 06:05
GT-Rの欧州市場撤退など、先が見えない日産のスポーツモデル。希望は「固体電池」にあるとのことです。
電動スポーツモデル GT-R後継も?
日産の欧州部門の幹部によると、エンスージアスト向けのスポーツモデルはまだ今後の計画に含まれており、電動化の時代にそれらを市販化するためには固体電池が鍵になるという。
スーパーカーのGT-Rは、13年という長い生産期間を経て、後継車がないまま欧州市場から撤退した。また、厳しい排ガス規制によって新型Zも欧州では販売されないため、同市場でスポーツモデルを展開できない状況が続くと見られていた。しかし、欧州日産の幹部はAUTOCARに対し、バッテリー技術の進歩により、そうしたモデルはまだ「検討されている」ことを認めた。
日産は最近、4台のコンセプトカーを発表している。小型クロスオーバーの「チルアウト」は、リーフの後継車を予告するもので、市販化に最も近いモデルだ。アリアと同じCMF-EVプラットフォームをベースにしたEVクロスオーバーで、英国で製造される予定である。
また、ピックアップトラック「サーフアウト」やスポーツカー「マックスアウト」のコンセプトも発表。それらがどの程度現実的なものなのか、AMIEO地域(中東、インド、欧州、オセアニア)の上級副社長兼最高企画責任者のフランソワ・ベイリー氏は、次のように語っている。
「23台の電動化モデルの発売を発表し、そのうちEVは15台でした。これまでに5つのモデルを公開していますが、問題は、次の段階がどうなるかです」
その15台のEVのうち2台はリーフの後継車とマイクラの後継車だが、商品計画にはスポーツモデルを入れる余地があるようだ。
固体電池で低価格・軽量化を実現
GT-RやZだけでなく、大型SUVのパトロールにも熱意が向けられている。ベイリーはAUTOCARに対し、日産が開発に取り組んでいる固体電池技術は、車両重量を過剰に増やすことなく必要な航続距離を確保し、こうしたクルマの市販化を実現できる可能性があると語った。
さらにベイリーは、GT-Rの電動後継モデルについて、「検討しています。わたし達は皆、クルマ好きですからね」と、社内で議論が行われていることも明らかにした。
しかし、「EVのスポーツカーはぜひ用意したいのですが、整理する必要があります。(デビューの)順番を発表する準備はできていませんが、検討が進められています」として、主力となる大衆向けモデルが優先されるとの見方を示した。
日産の固体電池がいつ実用化されるかによって、エンスージアスト向けEVの登場時期が左右される。研究は比較的進んだ段階にあり、2024年に試験生産を行う予定だ。その後、2026年頃に実用化され、2028年には固体電池を使った最初の市販車が路上を走ることになる見込みだ。
固体電池技術により、エネルギー密度が著しく向上し、EVとガソリン車やハイブリッド車との価格競争が加速されるはずである。日産は、現在のコストが1kWhあたり約100ポンド(約1万6500円)であるのに対し、固体電池では57ポンド(約9300円)と見積もっている。