年内にディーラーで売る? 日産+イトーキ モバイルオフィスカー「ム―ウ」が変える業界の常識
公開 : 2022.04.16 05:45
日産とイトーキがモバイルオフィスカー「ムーウ」を発表。業界に与える大きな影響について解説します。
NV200バネットがベース
ついに、日産が「商用バンの常識のハードル」をこえそうだ。
日産は2022年4月13日、オフィス家具大手のイトーキと、後部座席スペースで快適にテレワークできるモバイルオフィスカー「MOOW(ムーウ)」を共同開発したと発表した。
2022年内の発売を目指しており、販売は日産の新車を取扱う正規代理店がおこなうことを検討しているという。
ベースとなるのは、商用バンの「NV200バネット」だ。
公開された画像を見ると、運転席の真後ろ(車体右側)に、斜めに向かうような形でひとりがけのイスがある。
日産によると、「車内後部は人間工学に対応した理想的な姿勢をとることができる後継姿勢で座るデザイン」という。イメージとしては、座椅子のような感じである。
イスに座った状態で、座っている人の左側前方から正面にかけてを囲い込むような形でデスク(机)がある。
「デスク天板は着席しやすい稼働式」を採用。
サイズは、ノートパソコンを使用する際の利便性を考慮した設計とした。
また、スマホを差し込むスリットも切ってあり、ハンズフリーでビデオ通話やオンライン会議をする想定である。
車体左側の空間には「タイヤハウスを活かした」というサイドテーブルが設置されている。
そこに、車体右側のイスに座った状態で足を乗せることができるオットマンが収納できる構造としているのが特長だ。
コロナ禍で活躍するクルマ
車体右側の後部、つまりイスに座った状態で左斜め前方の位置には縦長の大きなボックスが設置されている。
ここには日産が開発したリチウムイオンバッテリーが搭載されているというのだ。
リチウムイオン電池の電気容量など、詳しいスペックは現段階で公表されていないが、出力は600W/hを想定し「ワークスペースに欠かせない冷暖房機器を5時間程度稼働させることが可能」という。
こうしたムーウを企画した背景には、やはりコロナ禍によるリモートワークという新しいライフスタイルが大きく影響している。
クルマの中を、働く場所としてのプライベート空間に見立てて、キャンピングカーを活用する事例が、テレビニュースやネット記事で紹介されることがめずらしくなくなった。
そうした中で、キャンピングカーという大仕掛けではなく、商用バンの荷室空間を最大限に活用するために、まずは日産がこれまで手掛けてきた特殊用途車両の設計に関する経験が必要とされた。
さらに、オフィス家具や勉強机など、イトーキがこれまで培ってきた人間工学に基づく知見と空間デザインのノウハウが融合し、ムーウとして具現化されたのだ。
日産とイトーキは、ムーウを「モバイルオフィスカー」と呼んでいる。