長所も短所もディフェンダーのまま ツイステッドT90 EVへ試乗 大胆にエレクトロモッド

公開 : 2022.05.01 08:25

先代ディフェンダーを純EVへコンバージョンしたT90。本物らしさが残ると、英国編集部は評価します。

先代ディフェンダーを電気自動車へ

英国で以前からランドローバー・ディフェンダーをモディファイしてきた、ツイステッド・オートモーティブ社。同社は、商標権の侵害を理由にランドローバー側から2回も訴えられている。だが、どちらの裁判も勝利したという。

少なくともビジネスは順調らしい。現在、ツイステッド社はアラブ首長国連邦とアメリカで、独自に手を加えたディフェンダーを販売している。本社は英国中東部のサースクにあり、ロンドンにもディーラーを構えている。

ツイステッドT90 EVディフェンダー(英国仕様)
ツイステッドT90 EVディフェンダー(英国仕様)

創業者のチャールズ・フォーセット氏は、2016年に先代のランドローバー・ディフェンダーを240台注文した。その頃既に、ランドローバー側は彼のビジネスに疑念を抱いていたが、クルマは販売したようだ。

現在、真新しいシャシーは40台ぶんが残っている。レストモッドのベース車両として。

今回の事例は、従来とは異なる購買層を惹き付けることになるだろう。シボレーのV8エンジンやフォードの4気筒エコブースト・エンジンではなく、駆動用モーターとバッテリーを搭載してくれるのだから。

内燃エンジン車を電気自動車へコンバージョンすることを、エレクトロモッドという。ディフェンダーのようなモデルの場合は、それが適しているとはいいにくい。それでもツイステッド社は、限定的な顧客が存在すると判断している。

現在、同社へ寄せられる新規ビジネスのうち、約20%は純EVに関するものとのこと。今後の増加は充分に考えられ、無視できない流れだといえる。

61kWhのバッテリーで225kmの航続距離

エレクトロモッドのために、技術協力したのがオランダの専門企業、プラウア社。標準のディフェンダーからエンジンを降ろし、トランスミッション部分が271psの駆動用モーターへ置き換えられている。従来の四輪駆動システムは、そのまま残される。

燃料タンクがあった部分とエンジンルーム内は、液冷されるリチウムイオン・バッテリーや制御機器が満たす。駆動用バッテリーの容量は、ショート・ホイールベースの90で61kWh。航続距離は、最長225kmがうたわれる。

ツイステッドT90 EVディフェンダー(英国仕様)
ツイステッドT90 EVディフェンダー(英国仕様)

ロング・ホイールベースの110なら、81kWhの駆動用バッテリーを搭載できる。急速充電器には対応していない。エレクトロモッドの結果、車重はノーマルのディフェンダー 90より300kg増えるという。

ボディやシャシー、インテリアなどは、ツイステッド社が得意とするアップグレードが施される。今回試乗したディフェンダー T90トラックキャブの仕上がりは、かなり印象的なものだった。

とはいえ、ディフェンダーの車内はそもそもさほど広くない。ツイステッド社が内装に手を加えスポーツシートを載せたとしても、運転席まわりの空間は限定的。ドアの近くに座ることになる。古くからのユーザーなら違和感はないだろう。

ディフェンダーらしさは、純EVのパワートレインにも通じる。市街地でも郊外の道でも、一般的な純EVとは異なる、独特の雰囲気が残されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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