GTの快適性+圧倒的な動力性能 アストン マーティンDBX707へ試乗 707psのSUV 前編
公開 : 2022.04.28 08:25 更新 : 2022.04.28 09:53
圧倒されるほど高性能なシャシーを得つつ、日常的な快適性も犠牲にしないDBX707。英国編集部が評価しました。
AMG 4.0L V8ツインターボとして最高馬力
最高出力は、モデルラインナップでの位置付けと結びつくことが多い。アストン マーティンDBX707の最高出力は707psもある。メルセデスAMG由来の4.0LツインターボV8エンジンが発揮した馬力としては、過去最大の数字となっている。
すなわち、アストン マーティンのフラッグシップSUVでの頂点に君臨する。その下のグレードへ、かなりの差を付けて。
間違いなく、最も高性能でもある。単にエンジンのパワーを上げて、車高を下げて、足まわりを引き締めただけではない。アストン マーティンが、全面的に手を加えた改良版といってもいい。SUVのDBXが、総合的に良くなっている。
といっても、そもそもの仕上がりが悪かったわけではない。2年ほど前にAUTOCARで実施した詳細テストでも、90点という高得点を残していた。
アストン マーティンは、更に上を目指したのだ。新CEOにトビアス・ムアース氏が就任すると、手始めにスポーツカーのヴァンテージを大改良。本来あるべき内容へと仕立て直した、F1エディションを投入した。
続いてムアースの目に止まったのが、売れ筋となるDBX。14か月の開発期間が費やされ、グランドツアラーとしての快適性を犠牲にすることなく、フラッグシップとして大幅に能力が高められたのだ。
既にシルバーストーン・サーキットで、プロトタイプへは試乗している。今回は、完成した量産版のステアリングホイールを握らせていただいた。
本物のスポーツカーといえる能力
通常のDBXからの視覚的な変化は、かなり大きい。フロントのデイタイムライトの位置を変更し、冷却効率が高められている。空力特性も見直され、ドラッグを減らし、高速域での安定性も磨かれている。
リアスポイラーは、実際に機能する部品として手が加えられた。SUVだとしても、スポイラーが必要な速度で走れるためだ。
F1マシンのようなディフューザーがリアバンパーの下に追加され、両脇に2本出しのマフラーが並ぶ。DBX707の後ろ姿は、かなりの迫力。機能を備えたデザインがゆえに、勇ましさも負けていない。
アルミホイールは23インチもある。その奥にはフロントが420mm、リアが390mmという巨大なカーボンセラミック・ブレーキディスクが鎮座している。
足元が放つ存在感によって、クルマ全体のプロポーションも凛々しさを増している。バネ下重量は、標準のDBXより約40kgも軽いそうだ。
もちろん、外からは見えないシャシー側へ施された改良も多岐に渡る。「本物のスポーツカーといえる、機敏なコーナリングやスポーティなフィーリング」を与えたと、アストン マーティンが主張するほど。
サスペンションは、基本的な構造に変更はないものの、完全にチューニングし直されたという。ステアリングは設定が見直され、感触を向上させるとともに、切り始めからの重み付けが改められた。