50年後に価値上昇のモデルは? 前編 1番ソフルフル:アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ
公開 : 2022.05.07 09:45
近年発表されたモデルのなかで、将来クラシックとして価値が高まるものは? 英国編集部が注目の5台を選出しました。
50年後に振り返って欲しいと思えるか
今から50年後、クラシックカーとして価値を高めるモデルとは? 悩ましい選考が終わり、今後コレクションしておきたい5台が選ばれた。
この選考企画は2021年の夏に始まった。開業から50周年を迎えた、英国のビューリー国立自動車博物館を祝う目的で。同時に、魅力的なクルマを再確認し、後世へ大切に残すために。
候補として最初に挙げられたモデルは、100種以上。アバルト595やボルボXC40、ジープ・ラングラー、ロールス・ロイス・ファントムなども含まれた。日本では馴染みのない、ダチア・ダスターといった実用車も加わっていた。
2022年の英国で購入できる、ニューモデルたちが中心だ。またそこには、ポルシェ911やフォルクスワーゲンUp! GTI、マツダMX-5(ロードスター)など、10台の特別候補も含まれていた。
そして今回、AUTOCAR英国編集部も協力し、ビューリー国立自動車博物館の審査員によって最終的な5台が選び出された。選考基準はシンプル。50年後に振り返って、まだ欲しいと思えるかどうかだ。
選出されたモデルは、英語表記のアルファベット順に、アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ、アルピーヌA110、BMW i3、ランドローバー・ディフェンダー、トヨタGRヤリスとなった。
今回は、その5台をご紹介したいと思う。恐らく、読者も同感するという1台が含まれているのではないだろうか。
この企画へ協力してくださった多くの方へ、この場を借りてお礼を申し上げたい。
ソウルフルなジュリア・クアドリフォリオ
希少性だけが、将来のクラシックとしての有望性を高めるわけではない。だが、強く後押しする要素にはなる。
この選考でアルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオが勝ち残った理由は、現在販売されているモデルのなかで、最もソフルフルな存在だから。素晴らしいドライビング体験を享受でき、特定の人から溺愛されている。そして、珍しい。
BMW M3も素晴らしいクルマではある。だが、これまでにも多くのM3が生産されてきた。数年おきに、より良く速いM3が入れ替わるように登場してきた。
一方のジュリアはブランドの再興を目的に、まっさらな状態から生み出されている。過去のアルファ・ロメオは、ルックスが良くても運転すると今ひとつ、という例も少なくなかった。
ジュリアのために新設計された後輪駆動のジョルジオ・プラットフォームには、一節によると40億ポンド(6680億円)という開発コストが投じられているという。複数モデルへ展開することを前提に。
ところが、電動化という未来が追い越すようにやって来た。ジョルジオは、現世代モデルで役目を終える可能性がある。ジュリア・クアドリフォリオのようなモデルも、今後生まれる可能性は極めて低い。
アルファ・ロメオが電気自動車になっても、高性能版にクアドリフォリオという名前が与えられるだろう。しかし比較的軽量なシャシーと、心が奪われるパワートレインを得る見込みが、高いとはいえない。