50年後に価値上昇のモデルは? 後編 見事な再解釈:ランドローバー・ディフェンダー 全天候型高性能:トヨタGRヤリス
公開 : 2022.05.07 09:47
近年発表されたモデルのなかで、将来クラシックとして価値が高まるものは? 英国編集部が注目の5台を選出しました。
再解釈されたランドローバー・ディフェンダー
正当なディフェンダーではない。ちょっと豪華過ぎる。インテリアを水洗いできない。そんな批判的な人がいることもわかる。過酷な環境でクルマに乗る人にとっては、求める内容とは異なるかもしれない。
だが、クルマは常に時代とともに歩む必要がある。新しいランドローバー・ディフェンダーは、初代を見事に再解釈したといっていい。
50年後にクラシックカーとして評価されるだろうとする理由の1つは、オリジナルからスタイリングのインスピレーションを受けつつ、2022年に見てもちゃんと新鮮なこと。巧みにモダナイズされ、決して初代の模倣とは感じさせない。
しっかりランドローバー・ディフェンダーだとわかるが、レトロ臭さはない。3ドアの90のプロポーションは完璧といえ、1日中眺めていても飽きることがなさそうだ。漫画に描かれた子犬のように、チャーミングでもある。
ロング・ホイールベースの110は、5ドアの実用性が追加されつつ、ディティールの処理は同様に素晴らしい。可愛らしさは多少減じるけれど。ライトなどの造形は、美しく新しい。スチールホイールを履いた90は、ディフェンダーの完成像かもしれない。
シリアスな走破性という、機能性も備わっている。確かに高価なモデルになってしまったが、かつてディフェンダーを愛用していた農業従事者も、先代の末期の頃には別のモデルを選んでいた。
オンロードマナーの素晴らしさ
アプローチ・アングルやデパーチャー・アングルなど、ボディと路面との角度は深く、渡河水深にも余裕がある。タイヤごとにブレーキを掛けてトラクションを維持する知的なシステムを備え、過酷な地形へも難なく立ち向かえる。
さらに、オンロードマナーが秀逸。先代にはなかった特長だ。独特の個性も味わえる。
現代的なSUVの多くは、背の高いハッチバックのように機敏に走ろうと務める。だが、それは難しい課題でもある。
ディフェンダーのアプローチは別。ステアリングやサスペンションは、かなりマイルド。そのおかげで、ゆったりとリラックスして運転できる。初代レンジローバーにも通じる味わいといえる。
エンジンも多彩。5.0LスーパーチャージドV8ガソリンすら選べる。525psのオフローダーというコンセプトは馬鹿げているようにも思えるが、楽しいことは間違いない。
ディーゼルターボには4気筒もあるが、クリーミーに回る3.0Lの直列6気筒が英国編集部のオススメ。ベーシックなD250というグレードでも充分に頼もしい。ガソリンの直列6気筒ターボも、燃費に目をつぶれば好感触だ。
多くのモデルが、登場から時間を経るほどに魅力を薄めていく。しかし、ディフェンダーなら次期型へモデルチェンジしても、オーナーの喜びが減じることはないだろう。
郊外のホームセンターへの買い物も、夏や冬の長距離旅行も、ハメを外したオフロード走行も、ディフェンダーなら守備範囲。15年や20年が過ぎても、その楽しさが変わることはないと思う。
ランドローバー・ディフェンダー 90 D250(英国仕様)のスペック
価格:5万9130ポンド(987万円)
全長:4323mm
全幅:1996mm
全高:1974mm
最高速度:188km/h
0-100km/h加速:8.0秒
燃費:11.0km/L
CO2排出量:238g/km
車両重量:2303kg
パワートレイン:直列6気筒2997ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:248ps/4000rpm
最大トルク:57.9kg-m/1250-2500rpm
ギアボックス:8速オートマチック