フェラーリ・エンジンの優雅なサルーン マセラティ・クアトロポルテ 英国版中古車ガイド
公開 : 2022.04.29 08:25
美しいボディに、フェラーリ譲りのエンジンを載せた5代目クアトロポルテ。英国編集部がその魅力をご紹介します。
もくじ
ーF430の派生エンジンに美しいボディ
ー魂を売るほど傾倒する可能性も?
ー新車時代のAUTOCARの評価は
ー専門家の意見を聞いてみる
ー購入時に気をつけたいポイント
ー知っておくべきこと
ー英国ではいくら払うべき?
F430の派生エンジンに美しいボディ
イタリアンな美しいボディで身を包んだ、マセラティ・クアトロポルテ。長い歴史を知っていれば、名前だけで思わず惹かれてしまう4ドアサルーンだ。なかでも傑作といえたのが、2004年に発売された5代目だった。
現在の中古車市場なら、手頃な価格で5代目クアトロポルテを探すことができる。思わずポチッとクリックしたくなるのは、筆者だけではないだろう。
ピニンファリーナ社によるスタイリングは、見惚れるほどに妖艶。フロントに収まるオールアルミの自然吸気4.2L V8エンジンは、素晴らしく豊かなサウンドを響かせ、7000rpmまで吹け上がる。
このV8エンジンは、フェラーリF430へ搭載されたユニットの派生版。家族で乗れるフェラーリとして楽しむのも悪くない。
最高出力は400psを誇り、0-100km/h加速を5.0秒でこなした。最高速度は、275km/hが主張されていた。ファミリーカーとしては充分以上に速い。素晴らしい音響は、情操教育にも良いかもしれない。
ただし、当初のトランスミッションは6速セミ・オートマティック。信頼性に欠ける、デュオセレクトと呼ばれるモノが載っていた。トランスアクスル・レイアウトで、マニュアル・モードでは清々しい変速を楽しめるが、機械任せでは気を揉むかもしれない。
2007年からは、扱いやすいZF社製の一般的なATも投入されている。だが、2005年に新グレードとしてエグゼクティブGTとスポーツGTが登場したが、後者にはデュオセレクトが残った。走りにフォーカスされた、低く硬いクアトロポルテだ。
魂を売るほど傾倒する可能性も?
2008年にフェイスリフトを受け、新しいフロントグリルにヘッドライト、ドアミラーを獲得。インテリアでは、センターコンソールが一新されている。
同時期には、スポーツGT Sも登場。V8エンジンは、上級グレードで4.7Lへ排気量が増やされた。こちらは最高出力440psを発揮し、0-100km/h加速は5.0秒を切っている。
グレードを問わず、クアトロポルテは操縦性が出色だった。ステアリングは正確で、コーナリングは驚くほどニュートラル。プッシュしても安定性が保たれた。テールを外側に降り出すことも難しくない。筆者の経験では、手懐けやすいと思う。
反面、乗り心地はいまひとつ。トルクコンバーター式ATの採用に合わせて、若干良くなっているけれど。
スタイリングが魅力的だと感じたら、インテリアも眺めて欲しい。広々とした空間は、沢山のウッドと柔らかなレザーで仕立てられている。スイッチ類が整然と並び、シートの座り心地も良い。イタリアン・ラグジュアリーに浸れる。
信頼性は、あまり期待しない方が良い。維持費も安くない。筆者のいとこ、ケビンは愛車のクアトロポルテに掛かる費用を抑えるため、フランスへ移住してしまった。
先が3本に別れたモリ、トライデントのエンブレムが勇ましいクアトロポルテには、表現しがたい魅力がある。魅了されてしまったら、魂を売るほど傾倒してしまう可能性もゼロではないので、ご注意を。