全長5m超の2ドアEV ロールス・ロイス 新型スペクターは次世代の「ファントム・クーペ」に

公開 : 2022.04.27 06:05

ロールス・ロイス初のEV「スペクター」は、ファントム・クーペの精神的後継車として位置づけられています。

ロールス初のEVはどんな「ロールス」に?

ロールス・ロイスが2023年末に発売予定の新型EV「スペクター」は、2016年に販売終了したファントム・クーペの精神的後継車に位置づけられている。

同社は約2年にわたる車両テストプログラムを開始しており、新型車のパラメーターが設定されつつある。AUTOCARはテスト車両に同乗し、その影を掴もうと試みた。

ロールス・ロイス・スペクターの予想レンダリング
ロールス・ロイス・スペクターの予想レンダリング    AUTOCAR

その結果、ラインナップにおけるスペクターの位置づけは、単に「電動ロールス・ロイス」というだけでなく、かなり明確になってきた。現行の2ドアモデルであるレイスとドーンは、後継車種がないことが決定している。この2台の受注は終了し、2023年初頭に生産を終える予定だ。

その隙間を埋めるのが、新型スペクターだ。全長5.6mのファントム・クーペに準じる、2ドアEVである。

ロールス・ロイスのトルステン・ミュラー=エトヴェシュCEOは、スペクターが単にEVとして以上の役割を持つと述べている。また、既存モデルを単にEV化することは、ブランドの付加価値にはプラスにならないため、真剣に検討されたことはないという。「まず、ロールス・ロイスであること。その次にEVなのです」

新開発のモジュ―ル式アルミニウム・スペースフレーム「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」の影響もあり、ファントム、ゴースト、カリナンとはまったく異なる製品となる。車軸の間には、ロールス・ロイスと親会社のBMWが共同開発した700kgのバッテリーパック(オーストラリアとモロッコの採掘源から得られたコバルトとリチウムを使用)が搭載されている。バッテリー重量以外の詳細は、まだほとんど確認されていない。

しかし、ロールス・ロイスのエンジニアリング・ディレクター、ミヒャエル・アヨウビは、スペクターの技術的進展について、多くの洞察を示してくれた。例えば、バッテリーはパッケージ全体の中で重要な役割を担っている。バッテリーの下(アンダーボディ)は完全にフラットで、空力効率を高めるために滑らかな形状となっている。また、バッテリーの搭載により、前後重量配分を良くして乗り心地とハンドリングを改善したほか、低重心化も実現。さらに防音効果も期待でき、防音材の量をファントムの120kgより減らす事ができるという。

ロールス・ロイスのクーペとしては1926年のロワイヤル以降最大径となる23インチホイールの装着と、ツインモーターによる四輪駆動方式も決定している。

後輪操舵やアクティブ・アンチロール・システムなど、他のモデルでおなじみのシャシー技術も継承。スタイリングでは、ファントム・クーペの分割型ヘッドライトが復活する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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