ステルヴィオと同じ4気筒 マセラティ・グレカーレ GTへ試乗 売れ筋カテゴリーの稼ぎ頭 前編

公開 : 2022.05.11 08:25

新しいマセラティ製DセグSUVに、4気筒ターボ版が登場。販売主力グレードを、英国編集部が一般道で評価しました。

売れ筋カテゴリーの稼ぎ頭グレード

マセラティの新SUV、グレカーレにベースグレードのGTが登場した。前回の試乗レポートをお読みいただいた方もいらっしゃると思うが、グレカーレ・トロフェオにはスーパーカーのMC20譲りとなる、530psの3.0L V型6気筒ツインターボが載っていた。

しかし、こちらのエンジンは2.0Lの直列4気筒ターボガソリン。ずっと近づきやすいグレカーレだ。

マセラティ・グレカーレ GT(欧州仕様)
マセラティ・グレカーレ GT(欧州仕様)

基本的には、売れ筋カテゴリーにおける、稼ぎ頭といえるグレード。モデナを拠点とするマセラティがファミリーSUVを作るとは、少し前なら想像もできなかった。比較的若い、裕福な層を取り込むことを狙ったモデルといえる。

今回試乗したグレカーレ GTの4気筒エンジンには、電圧48Vで稼働するマイルドハイブリッドが組み合わされている。イタリアの伝統ブランドも、電動化技術を忘れてはいない。システム総合での最高出力は、300psとなる。

GTより1つ上のグレードとして、グレカーレ・モデナもある。こちらには同じ4気筒ターボながら、330psのユニットが搭載される。最大トルクはGTと共通で、45.8kg-mだという。

勘の良い読者ならご想像がつくかもしれないが、この4気筒エンジンは、同じステランティス傘下にあるアルファ・ロメオ・ステルヴィオジープラングラーも採用する、GME T4型と呼ばれるもの。マセラティによる設計ではない。

2.0L 4発マイルドHVで0-100km/h 5.6秒

大きなトライデント・エンブレムの奥に搭載されるユニットが、2.0Lの4気筒と聞き、歴史あるスポーツカー・ブランドには不相応とお感じの方もいらっしゃると思う。しかし、スペック表に並ぶ数字は、決して見劣りするものではない。

例えば、グレカーレ GTは0-100km/h加速をたった5.6秒でこなす。車重1870kgのSUVでなくても、遅いと表現するべきダッシュ力ではない。最高速度も239km/hに届く。

マセラティ・グレカーレ GT(欧州仕様)
マセラティ・グレカーレ GT(欧州仕様)

マセラティは、マイルド・ハイブリッドのスターター・ジェネレーター(ISG)が中回転域でトルク補い、6気筒エンジンのような印象を与えると主張している。ちなみに燃費は11.5km/L。CO2の排出量は198g/kmとなっている。

スタートボタンを押し、控えめなエンジンを目覚めさせてみる。やや荒々しいアイドリングでスタートするが、すぐに穏やかな回転へ落ち着いた。華やかなグレカーレの雰囲気とは裏腹な、4気筒ユニットらしい単調なノイズが聞こえてくる。

甘美な歌声を放つ多気筒エンジンを生み出してきた名門マセラティだけに、GTのサウンドが物足りなく感じられてしまう。それでも、効果的に仕事をこなしてくれることは間違いない。

確かに、駆動用バッテリーとISGがアシストする中回転域では、想像以上に活発に思える。6気筒ユニット並みとまではいえないにしても。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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