2代目へ一新で競争力維持 キア・ニロ・ハイブリッド 試作車へ試乗 C-HRの競合 前編

公開 : 2022.05.17 08:25

韓国キアの人気クロスオーバー、ニロが2代目へモデルチェンジ。初代の成功受け継いだ改良を、英国編集部は評価します。

初代の成功を着実に伸ばす改良

英国ではキア2番目の売れ筋モデル、ニロが2代目へモデルチェンジする。EV6ほど革新的なモデルではないが、同社としての重要度はそれに並ぶといっていい。

初代ニロは、コンパクト・クロスオーバー市場で、多くのライバルに打ち勝ってきた。手頃な価格だけでなく、ハイブリッドから純EVまでラインナップし、電動化技術でも多くのユーザーを惹きつけてきた。

キア・ニロ・ハイブリッド 4 プロトタイプ(欧州仕様)
キア・ニロ・ハイブリッド 4 プロトタイプ(欧州仕様)

一般的に、内燃エンジン車と電気自動車を同じプラットフォームで作ろうとすると、パッケージングなどで妥協せざるを得ない。大きなエンジンとバッテリーは、特性も形状もまったく異なる。それでもニロは、訴求力のあるモデルだった。

だが、競争は日に日に激しくなっている。トヨタC-HRホンダHR-V(ヴェゼル)、ルノーアルカナなど、このカテゴリーには実力派のハイブリッド・ライバルが少なくない。純EV版のニロは、もう少し平穏かもしれないが。

2代目へ一新するニロは、初代の成功を着実に伸ばすことを目指している。プラットフォームは、第2世代のK3と呼ばれるものを採用するが、基本レシピに大きな違いはないようだ。

2種類あるハイブリッド版は、軽く改良を受けた1.6L 4気筒ガソリンと駆動用モーター、6速デュアルクラッチATという組み合わせ。駆動用バッテリーは、フル・ハイブリッドで1.32kWh、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)で11.1kWhの容量を持つ。

駆動用モーターは、フル・ハイブリッドが43ps。PHEVでは84psのものが組まれる。

スタイリングはアグレッシブに一新

ニロEVを名乗る純EV版は、初代と同じ64.8kWhの駆動用バッテリーを搭載。航続距離は最長466kmと不足ない。先代ではニロ全体の販売台数の約半数を、純EV版が占めていたという。

今回試乗したニロは、1番ベーシックなフル・ハイブリッド版。ただし、まだ完成前のプロトタイプではあったけれど。初代の場合、英国ではニロ全体で約4割の支持を集めた、2番人気のパワートレインだ。

キア・ニロ・ハイブリッド 4 プロトタイプ(欧州仕様)
キア・ニロ・ハイブリッド 4 プロトタイプ(欧州仕様)

ハイブリッド・システムは概ね先代のキャリーオーバーながら、スタイリングは大幅に一新している。初代と異なり、ずっとSUVらしいプロポーションが与えられた。アグレッシブなフロントマスクは、EV6などにも通じている。

キアの特徴となっている、フロントグリルはまだ健在。エアインテークとしての機能は殆どなく、装飾的な要素ではあるけれど。写真では、一部に偽装も施されている。

ボディサイズはひと回り成長し、全長で65mm、全幅で20mm大きく、見た目の存在感も強くなった。混雑した市街地などでの取り回しに影響があるとはいえ、車内空間もしっかり広くなっている。

リアシート側も、大人にとって不満のない場所だと呼べる。それでいて、荷室側が犠牲になってもいない。

ニロの荷室容量は、リアシートを起こした状態で451L。トヨタC-HRより僅かに広いものの、ルノー・アルカナには届いていない。ハイブリッド用の駆動用バッテリーが、荷室空間を侵食してもいる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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