子どもは大人の半分じゃない! 意外と知らない「乗車定員」の数え方 軽には何人乗れる?

公開 : 2022.06.14 17:45

自動車の乗車定員は「大人1人=子ども1.5人」。知らないと危険な乗車定員の数え方を解説します。

「子ども×2=大人1」は誤り

道路運送車両法においては体格に関係なく12歳未満の乗員を「子ども」(条文上は「小児又は幼児」。以下、「子ども」)と定義している。

そして、子どもの乗員は大人2名が子ども3名。つまり、大人1名=子ども1.5人に換算されるのだ。

法令上の「乗車定員」は「大人1人=子ども1.5人」
法令上の「乗車定員」は「大人1人=子ども1.5人」    トヨタ

道路運送車両法の保安基準における定義は以下のとおり。

「(乗車定員及び最大積載量) 第53条:自動車の乗車定員又は最大積載量は、本章の規定に適合して安全な運行を確保し、及び公害を防止できるものとして、告示で定める基準に基づき算出される範囲内において乗車し又は積載することができる人員又は物品の積載量のうち最大のものとする。ただし、二輪の軽自動車(側車付二輪自動車を除く。)にあつては乗車定員2人以下、車両総重量2トン未満の被牽引自動車にあつては乗車定員なしとする」

「2 前項の乗車定員は、12歳以上の者の数をもつて表すものとする。この場合において、12歳以上の者1人は、12歳未満の小児又は幼児1.5人に相当するものとする」

「大人1人=子ども1.5人」と換算するのが正しいのだが、子ども1人=大人の0.5人……つまり子どもは大人の半分だから子ども2人で大人1人に相当するとの勘違いも少なくない。

乗車人数を数える際、子どもは大人の半分ではない。

ちなみに、キャンピングカーの就寝定員では、子ども用ベッドスペース(40×120cm)2人分で大人1人分の就寝スペースと換算できる。

子ども2名分=大人1名分と計算できるのはクルマ関係ではキャンピングカーの就寝定員くらいだろう。

12歳以上なら小学生でも「大人」

そもそも12歳以上を一律に大人として数えるのもどうかと思うがJRなど鉄道会社でも基本は12歳以上を大人としている。

JR各社では「おとな」とは12歳以上で、「こども/幼児/乳児」は12歳未満のことを指す。

人気のミニバン「日産セレナ」の車内
人気のミニバン「日産セレナ」の車内    日産

ただし、JRでは12歳以上でも小学生であれば「こども」のままで、6歳でも小学校入学前であれば「幼児」とみなすとのこと。

クルマの場合はどうだろうか?

国土交通省に聞いてみたところ、道路運送車両法においてはあくまでも年齢で区切るとのことだった。

しかし、12歳でも身長130cm台もいれば160cmも存在する。クルマは鉄道とは異なり、身体のサイズとシートベルトの装着が命に関わることもある。

安全第一に考えるなら、12歳以上であってもシートベルトが安全に装着できる身長150cmまではジュニアシートを装着するよう親がしっかり教えるべきだと筆者は考える。

では乗車定員を実際のクルマに当てはめて計算してみよう。

3列シートの7~8人乗りのミニバン

運転席と助手席に大人が乗った場合、2+3列目合計で大人5~6名分の座席が残る。5×1.5=7.5、6×1.5=8となるので、12歳未満の子どもが2+3列目に座る場合7人乗りなら7名、8人乗りなら8名まで乗れることになる。

5人乗りのセダン

一般的なセダンやコンパクトカーはほとんどの場合5人が乗車定員となる。運転席と助手席に大人2人が乗った場合、後席は大人3座分となり3×1.5=4.5。子どもは4人乗れることになる。

4人乗り軽自動車

軽自動車は軽トラックや2座オープンカーなどを除いて、前2+後2の計4名が定員となる。前に大人2人が乗った場合、後席は2×1.5=3となり子どもは3名まで乗れる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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