満タン+満充電で何km走れる? ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド 800kmのクルマ旅 前編
公開 : 2022.05.21 09:45
電動化への道を歩み始めた、ベントレー。その第一歩となるPHEV版ベンテイガで、英国編集部が800kmの旅に出ました。
3.0L V6ターボガソリン+駆動用モーター
超高級SUVが、かつてないほど優れた燃費効率と低い環境負荷を実現したとき、その能力をわかりやすく示す方法とは何だろう。しかも従来と変わることなく、余計な気使いなしに、安楽に乗れるモデルなら。
ブランド初のプラグイン・ハイブリッド(PHEV)、ベンテイガ・ハイブリッドは、まさにそんなクルマだ。世界で成功を収める超高級SUVに電動化技術が搭載されているが、従来のベントレーのように運転することができる。
ボディサイズを考えれば控えめな3.0L V6ターボガソリン・エンジンに、127psの駆動用モーターが組み合わされている。荷室のフロア下には最長40kmを電気の力だけで走行できる、13.3kWhの駆動用リチウムイオン・バッテリーが積まれている。
ボンネットを開くと、カバーの下には鮮やかな高圧ケーブルとつながった、謎の黒い箱が並んでいる。それでいて、ラグジュアリーなインテリアの雰囲気はそのままだ。
ただし、公式の燃費やCO2の排出量が現実的なものとはいい難いことは、読者もご存知のとおり。ベンテイガ・ハイブリッドのカタログには、28.7km/Lと79g/kmという数字が記載されている。
ちなみに、4.0L V8ツインターボ・エンジンを搭載したベンテイガ V8の場合、平均燃費は7.7km/L。CO2の排出量は294g/kmと、その差は大きい。
最初の目的地はクルーのベントレー本社
ベントレー側も、PHEVのカタログ値が実際の利用環境で得られるものとは異なると認識している。では、満タンのガソリンでどこまで遠くへ走れるのだろうか。魔法のじゅうたんで運ばれるような、スムーズな心地良さは変わらないだろうか。
少なくとも、英国仕様では0-100km/h加速がベンテイガ V8より0.8秒遅れることは、明らかなようだ。PHEVの大型SUVが、5.2秒で静止状態から100km/hまで加速できるなら、まったく不満はないのだが。
そんな疑問を解決する方法は1つ。自らベンテイガ・ハイブリッドで長距離ドライブに出るしかない。しっかり休憩は取るつもりだが、長旅での疲労感も確かめることができる。
どこを目指すべきか。まず最初に英国南西部、コッツウォルズにある筆者の拠点から、中部のクルーにあるベントレー本社まで、約210kmを北上することにした。
片道およそ3時間。クルーでは、道中で感じた疑問を技術者に尋ねることができる。電話でアポを取ると、ベントレーのテクニカル・コミュニケーション部門を率いるジョン・スメドレー氏が快く応じてくれた。詳しい同僚も同席できるという。
クルーでは、家族ぐるみで親交のあるフォトグラファー、マックス・エドレストンとも落ち合うことにした。順調に旅を始められそうだ。
クルーへ着いても、まだガソリンには余裕がある。次の目的地を検討していると、英国東部のエセックス州にある、P&Aウッド社というロールス・ロイスとベントレーの販売店へ立ち寄るアイデアが浮かんだ。