日本最大、英国クラシックカーだけのラリー 「第29回ブリティッシュ・クラシック・マラソン」

公開 : 2022.05.19 12:15  更新 : 2022.11.01 08:49

英国クラシックカーだけのラリー 「第29回ブリティッシュ・クラシック・マラソン」。65台が700kmを走破しました。

年に1度の楽しみと試練

1979年までに製造されたイギリスのクラシックカーにスポットを当てたラリーイベント、ブリティッシュ・クラシック・マラソン。

その29回目となるイベントが4月23日~24日の週末に開催された。

アストン マーティン、ロータスといった英国車65台が参加
アストン マーティンロータスといった英国車65台が参加

今日ではクラシックカーをフィーチャーした走りのイベントはめずらしいものではないが、30年近くも続いているものは稀だ。

ブリクラ(常連は親しみを込めてこう呼ぶ)の特徴は、とにかく長い距離を走破するということ。毎回、愛知県から富山~石川など日本海側を往復する700kmほどの距離を、1泊2日で走り切るのである。

近年のブリティッシュ・クラシック・マラソンはスタート地点を分散している。

ラリーを進めながら参加者たちが出会っていくスタイルなのである。

これはヨーロッパではじまった往年のラリーイベントのかたちを模したもの。「再び会う」というラリーという言葉の語源に忠実なものといえる。

今回のイベントも65台のブリティッシュ・クラシックカーたちが全国から集まり、チェックポイントごとに旧交を温めていく。

走るコースは毎回ちがっても、イベントの流れはほぼ固まってきている。

それでも1年ぶりの友人たちとの出会い、そして愛車との真剣なドライブはいつだって新鮮なのだ。

過酷な昼と優雅な夜

ラリー競技を謳うブリクラだが、WRCのように公道でスピードを競うわけではない。

途中にタイムトライアルをはじめとするバリエーション・ステージを挟みながら、基本的にはコマ図を頼りに決められたコースを走る。

人気の秘訣は、過酷な昼と優雅な夜の二面性にあると筆者はいう。
人気の秘訣は、過酷な昼と優雅な夜の二面性にあると筆者はいう。

その際の走行ペースは主催者が設定したものを参加者自身が予測する必要がある。

このためビギナーズラックもなくはないが、ベテランになるときとんと計算したうえで毎年確実に上位に食い込んでくる。

レギュレーショナルラリーの世界は見た目より奥が深いのだ。

1日目は愛知県岡崎市を中心とする太平洋側から走りはじめ、泊地でもある石川県加賀市のホテルアローレにゴールする。

第1チェックポイントをすべての参加車が通過し、そこからは同じコースを辿るかたちでラリーが進む。

途中で福井県タカスサーキットに立ち寄りアタックを敢行。

またスーパースローという低速走行のステージもドライビングの正確性が問われる人気のタスクだ。

高速道路とワインディングをひた走った後、ホテルで開かれるウェルカムパーティーは格別であり、ブリクラのハイライトの1つでもある。

服装もレーシングからフォーマルに様変わりし、昼間とは違う雰囲気でゆったりと楽しむことができる。

そんな二面性も常連たちを惹きつけるブリクラの魅力といえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    奥村純一

    Junichi Okumura

    1969年生まれ。都内の自宅とヒストリックカー10台以上(!)を収める埼玉北部の倉庫ガレージの2拠点生活を実践するフォトグラファー。昨年より過疎人口減少地域への総務省の取り組み「地域おこし協力隊」として埼玉県秩父郡皆野町でも活動。ミーティングやクラシックカーイベントのオーガナイズもおこなっているマルチなヒストリックカー趣味人。

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