お金がかかっても持続可能性は重視 将来のクルマ像とメーカーの責任 ルノー幹部が語る

公開 : 2022.05.20 06:45

ルノーのデザイン責任者ジル・ヴィダルは、製造コストが増えても持続可能な素材を使うべきだと主張しています。

サステナブルな自動車作り メーカーはコストに向き合うべき

自動車にリサイクル素材や再生素材を使用することは、メーカーや消費者にとって経済的な負担となるが、地球のために行わなければならない。ルノーのデザイン責任者ジル・ヴィダルは、このように述べている。

ルノー・セニック・ビジョン・コンセプトの発表会では、今後のインテリアデザインと水素燃料電池パワートレイン、そして2024年発売予定の新型セニックの外観デザインが紹介された。その中でヴィダルは、部品の70%にリサイクル素材が使われていること、そして95%がリサイクル可能であることを強調した。

ルノー・セニック・ビジョン・コンセプト
ルノー・セニック・ビジョン・コンセプト    ルノー

同時に、サステナビリティ(持続可能性)を自動車に取り入れるためにはコストがかかると指摘。「これは非常に難しい問題です。わたし達がよく知る自動車の内装品メーカーは、何十年もかけてコストを最適化してきたのですから」

「つまり、今までと違うことをやるにはコストがかかり、そのコストに直面すると、反射的に『やらない』ことになってしまうのです。しかし、わたし達はそれに立ち向かい、決断しなければなりません。サステナビリティで世界一の企業になるためには、そのことを頭の片隅に置いておくしかないでしょう」

セニック・ビジョンに使われている持続可能な素材としては、リサイクルされた無染色プラスチックのフロアや、縫製も含めて単一のリサイクル可能素材で作られたシート(ヘッドレストを除く)などが挙げられる。しかし、ヴィダルは、リサイクル可能な素材を使うだけでは不十分だという。

「現在、ほとんどの自動車は95%がリサイクル可能ですが、だからといってリサイクルされているわけではありません。巧みなエンジニアリング技術と設計によって、より早く、より簡単にリサイクルできるようになります。その結果、実際にリサイクルを行う上での収益性を高めることができるのです」

ヴィダルはまた、将来的に自動車のハードウェアをアップグレードできるようにするため、自動車メーカーが果たすべき役割についても言及した。

「すべてを統合するという考え方から脱却し、レゴのように部品を取り外しできるものに近づけていく必要があります」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジム・ホルダー

    Jim Holder

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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