メルセデス・ベンツに「ミトス」 新ブランド立ち上げ 超高級路線のコレクターズカー展開

公開 : 2022.05.20 18:05

メルセデス・ベンツは、マイバッハの上位に当たる新ブランド「ミトス」を設立。高価格・高収益モデルに注力します。

少量生産の最高級車ブランド

メルセデス・ベンツは、2026年までに売上を2019年比で60%増加させるため、「超高級コレクターズカー」を展開する新ブランド「ミトス(Mythos)」を立ち上げた。

ミトスは、実質的にマイバッハの上に位置する最高級ブランドとなる。「メルセデス・ベンツの最も熱心な愛好家やコレクター」向けに少量生産の特別車両を生産する予定だ。

メルセデス・ミトスが販売する新型車のプレビュー画像
メルセデス・ミトスが販売する新型車のプレビュー画像    メルセデス・ベンツ

メルセデスが公開したプレビュー画像には、メルセデスAMG SLをベースにしていると思われるオープンルーフのスピードスターが写っており、これがミトスブランドの最初の製品となるようだ。

ミトスはギリシャ語で、「神話」や「伝説」、「伝承」といった意味を持つ言葉だ。メルセデスのオラ・ケレニウスCEOは、新ブランドについて次のように述べている。

「ほとんどの高級車ブランドは、1つか2つの『アイコン』をベースにポートフォリオを構築しています。メルセデス・ベンツは、Sクラス、SL、Gクラスのほか、AMG、マイバッハといったブランドなど、複数のアイコニックな製品とブランドをポートフォリオの上位に持つという幸運に恵まれているのです」

「当社はここで、お客様にとってさらに魅力的な製品を展開し、トップエンドのポートフォリオを拡大することに大きな可能性を感じています」

メルセデスは、高級かつ利益率の高い製品に集中することで、「厳しい市場環境の下でも、強い財務結果を出す」ことを目指している。2020年代半ばまでに営業利益率14%を目標とし、全投資額の75%をこうした高利益の製品開発に振り向けるという。

多くのメーカーと同様、メルセデスは高価なモデルの生産を優先しており、昨年は生産台数が5%減少したにもかかわらず、高級車の需要が30%増加したことで結果的に9%の増収につながった。

エントリーモデルは4車種に縮小

メルセデスは今後、トップエンド・ラグジュアリー、コア・ラグジュアリー、エントリー・ラグジュアリーという3つのカテゴリーに注力するとしている。

トップエンド・ラグジュアリーは、AMGとマイバッハの全車種、EQシリーズの最上級EV、メルセデス・ベンツSクラス、GLS、Gクラスの派生モデル、および限定モデルで構成される。

比較的収益の低いエントリーモデルを縮小し、高級路線を一層強化する方針だ。
比較的収益の低いエントリーモデルを縮小し、高級路線を一層強化する方針だ。

この新戦略において重要な一翼を担うのが、2023発売予定の新型メルセデス・マイバッハEQS SUVだ。また、マイバッハからは新型SLや次期GTをベースにしたスポーツカーも登場すると思われる。

コア・ラグジュアリーとは、CクラスEクラスといった量産モデルを指す。Eクラスは来年世代交代を迎え、「このセグメントの進むべき道を示す」ことになる。

そして高級路線の強化は、エントリーモデルにも大きな影響を及ぼす。今月初め、ケルニウスCEOは「下を向くより上を向きたい」と述べた。

メルセデスはエントリーモデルのラインナップを7車種から4車種に絞り込み、一方で「技術的な中身を大幅に向上させる」という。2024年に登場する新プラットフォームMMAを採用した小型EVが、エントリーモデルの方向性を決定付けることになる。

具体的にどのモデルが廃止されるのかは不明だが、最近公開された新型車のシルエットは、CLAのような4ドア・クーペであった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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