これが2025年のメルセデスAMG 「ビジョンAMG」高性能EVコンセプト公開

公開 : 2022.05.21 05:45

メルセデスAMG専用のEVプラットフォームを採用したコンセプトカーが初公開。2025年に市販化予定です。

ポルシェタイカンに強力なライバル出現?

メルセデスAMGが、コンセプトカーの「ビジョンAMG」を発表した。2025年に発売が計画されている、次世代の高性能EVセダンを予告するものだ。

その市販モデルは、AMGのEV専用プラットフォームである「AMG.EA」を初めて採用することになる。メルセデス・ベンツEQSEQEで使用しているEVAプラットフォームよりも低く、よりスポーティな形状を実現するために、コンパクトなバッテリーを中心に設計された構造になっている。

メルセデスAMG「ビジョンAMG」コンセプト
メルセデスAMG「ビジョンAMG」コンセプト    メルセデスAMG

メルセデス・ベンツのエクステリアデザインを統括するロバート・レシュニックは、次のように述べている。

「デザインとプロポーションの両面で、新しいプラットフォームの利点を最大限に生かしました。ビジョンAMGは、当社が計画している、卓越したエアロダイナミクスと大人4人が快適に過ごせる空間を備えた、低く流麗なサルーンを示しています」

このクルマは、空力性能に特化したビジョンEQXXで確立した特徴的なラインを多用し、低く構えたフロント、大きくカーブしたルーフライン、ダックテールのリアスポイラーを備えている。

メルセデスAMGの2022年型F1マシンに似たカラースキームを採用し、ブランドの特徴であるパナメリカーナグリルは、照明付きのフレームと10本の縦ラインを持つパネルとした。

「内燃機関の搭載を想定していないAMG.EAプラットフォームを採用したことで、ボンネットを非常に低くし、フェンダーに大きなボリュームを持たせることができました。AMG.EAプラットフォームは、デザイン面で大きな自由度を与えてくれるのです」

比較的低いカウル、大きく湾曲したフロントガラス、薄いキャビン、くびれたルーフラインなどがスポーツ性を強調している。

コンセプトカーには見られないが、メルセデス・ベンツによれば、市販モデルには4枚のフレームレスドアと、次期GTクーペと同様の大型リフトバック式テールゲートが採用されるという。

プラットフォームやバッテリーはAMG専用品

このコンセプトからどのように市販モデルにつながっていくのか、まだ詳細は明らかにされていないが、丸く赤いテールパイプのグラフィックが、テールライトデザインに反映されると考えられる。

ビジョンEQXXと同様に、高速走行時にダウンフォースを増加させるリアスポイラーなど、可動式エアロパーツも重要な役割を果たすとされている。

メルセデスAMG「ビジョンAMG」コンセプト
メルセデスAMG「ビジョンAMG」コンセプト    メルセデスAMG

全長5100mmと、メルセデスAMG GT 4ドア・クーペよりわずかに長く、競合のポルシェ・タイカンより147mm長い。ホイールベースだけでも3000mm以上に及ぶ。

キャビンは、突出したフェンダーの間にうまく収まり、後方に向かってテーパーがかかっている。完全なフラットフロアを誇るEVAプラットフォームとは異なり、AMG.EAではリアにフットウェルが設けられ、バッテリーはリアシートの下に格納される。

「これにより、リアのスペースと快適性を向上させることができます。非常に低いクルマですが、ロングホイールベースなので、4人がしっかり乗れます」とレシュニックは述べている。

AMG.EAプラットフォームの詳細は不明だが、バッテリーが構造の一部となるセル・トゥ・シャシーデザインを採用し、低重心を実現していると予想される。

また、パワートレインに関する具体的な情報もまだ発表されていないが、メルセデス・ベンツは最近英国のエンジニアリング会社YASAを買収し、その電気モーターをAMG.EAプラットフォームに独占的に使用する予定だ。

現在、メルセデス・ベンツの完全子会社として運営されているYASAは、コンパクトな「軸流」モーターを専門としている。メルセデスの現行EVで使用されているラジアルユニットよりも軽量かつコンパクトなサイズで、高い効率とパワーを発揮するという。

メルセデスAMGのフィリップ・シーマーCEOは、「より高い出力密度と連続的なトルク伝達により、ドライビングパフォーマンスの未来を再定義します。わたし達はすべてをゼロから開発しているのです」と語る。

ビジョンAMGの市販モデルには、AMG専用のセルを使用した特注バッテリーも用意されており、これはすでにPHEVのGT 63 Eパフォーマンスに採用されている。また、メルセデス・ベンツは2025年以降の市販モデルに、米国のバッテリー素材企業シラのシリコンアノードを採用することを決定している。従来のグラファイトアノードに比べてエネルギー密度を40%向上させ、航続距離を大幅に延ばすことができるとされている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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