前年比2倍も売れた! 急速にEVシフトが進む背景 日本はどうなる?
公開 : 2022.05.26 05:45
2021年は前年度比でEV/PHEVが2倍売れました。世界的にEVシフトが急加速した背景を解説します。
前年比「2倍」も売れた
2021年は2020年に比べて、EV(電気自動車)とプラグインハイブリッド(PHEV)が2倍売れた。
ついに、世界的なEVシフトが明確になったのか?
そんなふうに、多くの人が直感的に捉えられる数字がIEA(国際エネルギー機関)から発表されたのだ。
IEAとは、世界29か国が加盟する、エネルギー関連政策に関する諮問機関だ。
そのため、原子力発電施設の視察などについて報道される場合、IEAという名称を見たり聞いたりする人も少なくないだろう。
EVなど次世代車についても、IEAは市場動向や将来予測について報告書をまとめており、自動車メーカー各社やコンサルティング企業なども、IEAの予測値をもとに事業戦略を描く場合が多い。
その報告書である、「グローバルEVアウトルック2022」によると、2021年にグローバルで販売されたBEV(いわゆるバッテリーEV)とプラグインハイブリッド車の総数は約660万台となった。
これは2021年に比べて2倍という急激な伸びである。
さらに、報告書では直近2022年の販売実績にも触れており、最初の3か月(1~3月)で200万台も売っており、その後も引き続き販売が好調であり、2022年は2021年を超える販売実績になりそうだ。
また、EVとプラグインハイブリッド車のグローバルでの保有台数は2021年時点で1650万台に達したという。
予想より急激な立ち上がり?
なぜ、2020年から2021年にかけて、急激にEVとプラグインハイブリッド車がグローバルで売れているのか?
その詳細に触れる前に、まずはグローバルにおけるEV/プラグインハイブリッド車市場に関するこれまでの流れを振り返っておこう。
EVは、自動車産業全体としての創世記である1900年代前半からアメリカなどで販売が始まったものの、アメリカや欧州でのガソリン車開発が急速に進み、量産型EVは姿を消す。
1970年代になり、米国の排気ガス規制であるマスキー法の施行や、いわゆるオイルショックによるガソリン供給量不足やガソリン価格高騰などにより、EVに関する研究や実証試験が研究機関などで進むも、当時の電池やモーターの技術では走行性能がガソリン車と乖離していたため、この時点でも量産型EVは登場しない。
その後、欧州やアメリカで小規模な事業者が小型EVを販売したり、2000年代初頭にテスラが創業するも、販売台数はかなり限定的だった。
大手自動車メーカーによる、本格的な自社EVの生産は、2009年から2010年にかけての、三菱アイミーブと日産リーフが事実上、始めてとなる。
要するに、量産型EVが大々的に世に出てから、まだ10年ちょっとしか経っていないのだ。