RAV4って何? ゴルフはスポーツじゃない? 意外と知らない「車名」に込められた意味 23選

公開 : 2022.05.28 06:05

クルマの名前には、メーカーの期待や開発経緯などさまざまな意味が込められています。その一部を紹介します。

成否を左右するネーミングセンス

自動車メーカーには、クルマに適切な名前を付けるための部署が存在する。ネーミングを間違えると、せっかくの良いクルマが失敗作になってしまうこともある。ネーミングはクルマのイメージを形成する上で重要な役割を担っているのだ。

例えば、フォルクスワーゲン・ゴルフの次世代モデルに、下品な侮辱に聞こえる名前を付けたら、現行モデルほどは売れないかもしれない。同様に、BMWが4シリーズに代わるモデルとして「シャルロッテ」という可愛らしい名前のクルマを発売するのは、ちょっと想像できないだろう。しかし、アルファ・ロメオのスポーツセダンには、「G20 t4 D」よりもジュリアがよく似合うのは間違いないだろう。

メーカーが製品に名前をつけるのは、親が子に名前をつけるようなものだろう。
メーカーが製品に名前をつけるのは、親が子に名前をつけるようなものだろう。

今回は、こうしたネーミングに隠された意味(特に意味がないこともある)を探ってみよう。

アルファ・ロメオ・ミト

アルファ・ロメオが2ドアの小型ハッチバック車に「ミト(MiTo)」という名前を選んだのには、2つの理由がある。

1つは、このクルマがイタリアの「ミラノ(Milano)」で開発され、「トリノ(Torino)」で組み立てられていることを示すもの。もう1つは、ミトという言葉がイタリア語で「神話」を意味するということ。いずれにしても、アルファ・ロメオがエントリーモデルとして大きな期待を寄せていたことは明らかだ。

アルファ・ロメオ・ミトは、販売的には大成功とはいえなかったが、5ドアのEVとして近く復活するという情報もある。
アルファ・ロメオ・ミトは、販売的には大成功とはいえなかったが、5ドアのEVとして近く復活するという情報もある。

アウディTT

アウディの「TT」は、毎年マン島で開催されるバイクレース、ツーリスト・トロフィー(TTレース)にちなんで名づけられた。ドイツ企業であるアウディは、TTレースへの参戦はおろかバイクを量産したこともないが、意外にも歴史的な繋がりは深い。

アウディは4つの企業が合併して生まれたもので、そのうちの1社であるDKWは、1930年代にレース用バイクを製造していた。1938年のTTレースでは、同社の製造したマシンが優勝している。1954年には、これも後にアウディと合併するNSU社のバイクが250ccクラスで1~4位を独占した。そして1965年、NSUプリンツTT/TTSにそのイニシャルが刻まれた。

アウディ自体はバイクを製造していないが、現在のアウディを形成する会社がバイクレースに関わっていた。
アウディ自体はバイクを製造していないが、現在のアウディを形成する会社がバイクレースに関わっていた。

プリンツTTとTTSは、長きにわたってレースシーンに華を添えてきたスポーツモデルだ。1995年のフランクフルト・モーターショーで発表されたアウディTTコンセプトも、これに敬意を表している。

ベントレーベンテイガ

ベントレーは、同社初のSUVをカナリア諸島の峰にちなんで命名した。グラン・カナリア島のテヘダ村を見下ろすロケ・ベンテイガだ。

この岩山を選んだ理由について、ベントレーはほとんど明らかにしていないが、おそらく「ベントレー・ベンテイガ(Bentley Bentayga)」という名前の響きが良いからだろう。エベレストはすでにフォードに奪われていたし、「ベントレー・カンチェンジュンガ」では親しみやすいとはいえない。

ベントレー・ベンテイガは、高級車ブランドが作るSUVとして新たな市場を切り拓いた。
ベントレー・ベンテイガは、高級車ブランドが作るSUVとして新たな市場を切り拓いた。

現在、ベンテイガは1905年に南アフリカで発見された巨大なダイヤモンドにちなんで名付けられたロールス・ロイスのSUV、カリナン(Cullinan)との競争に直面している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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