欧州で人気のクロスオーバーが一新 キア・ニロ EVへ試乗 航続距離460km 前編
公開 : 2022.06.08 08:25
欧州で高い人気を誇る、キアのクロスオーバーがモデルチェンジ。英国編集部が2代目EV版の仕上りを確かめました。
2021年に欧州で売上高を伸ばしたキア
純EVのファミリー・クロスオーバーとして、英国で最も多く売れているモデルの1つが、キア・ニロだ。そんな人気者が、2代目へモデルチェンジした。
COVID-19の流行で、多くの自動車メーカーが生産に手を焼き、販売に苦戦している。だがキアは、ニロの力も借り2021年の落ち込みを食い止めた。サプライチェーンの混乱はまだ続きそうだが、手頃な価格のニロはわれわれのお財布にも優しい存在だ。
実際、むしろ2021年のキアは売上高を増やしている。欧州市場で見ると、前年比で20%のプラス。市場シェアは3.5%から4.3%へと、1ポイント近くも伸ばしている。さらに、2021年に売れたキアのほぼ半数が、電動化技術を搭載していたという。
初代の純EV版、e-ニロは特にエキサイティングなモデルではなかった。それでも実用性は高く、装備は充実しており、新車購入から7年間の保証も付いていた。何より、最長で約450kmとうたわれる航続距離が最大の強みといえた。
この距離は、コンパクト・クロスオーバーで価格帯の低い純EVとしては、他を凌駕するもの。数年前に該当するカテゴリーを見渡せば、同等の数字を主張するモデルは、価格がe-ニロの2倍近くするものばかりだった。
直近は、半導体不足などでバックオーダーを増やしているメーカーも多い。しかしニロの場合は、そうなる前から納車待ちをしている人が少なくなかった。
大幅にリフレッシュしたスタイリング
そんな人気モデルの2代目だから、多くのことを期待せずにはいられない。前回の試乗記をお読みいただいた方もいらっしゃるかと思うが、次期のニロにも純EV版のほかに、一般的なハイブリッドとプラグイン・ハイブリッド(PHEV)版が用意される。
ちなみに、先代では純EV版をキアはe-ニロと呼んでいた。だが2代目ではニロ EVと、より実態を理解しやすくなっている。
ただし、やや保守的なモデルチェンジかもしれない。先進的なEV6や最新版のスポーテージなど、近年のキアは意欲的なモデルをリリースしている。2代目のニロも、もう一歩思い切ったアプローチでも良かったように思う。
とはいえ、スタイリングは大幅にリフレッシュされている。フロントは折れ曲がったデイタイム・ランニングライトが力強い表情を作っている。充電ポートはノーズの中央。塞がれたフロントグリルが、電気自動車であることを主張する。
リアへ回り込むと、両端の高い位置に据えられたLEDテールライトが目を引く。ただし、今回の試乗車は英国へ正式導入前のプロトタイプだったため、バンパー部分に幾何学模様のカモフラージュが施されたままだった。
新しいニロ EVのスタイリングでポイントとなるのが、太いCピラー。トップグレードを選択すると、ボディカラーとは対象的なグロスブラックかガンメタルで、ツートーンに塗り分けることができる。有料オプションではあるが。