特別色と極上の内装 「FペイスSVRジャパンSVエディション」 試乗で見つけたジャガーらしさ

公開 : 2022.05.27 11:45

特別色をまとうジャガーFペイスSVRの限定車「ジャパンSVエディション」。20台だけの贅沢な内外装と、V8の走りをレポートします。

ビスポークを選ぶという贅沢

執筆:Ohto Yasuhiro(大音安弘)

馬車の時代から、富裕層によって乗り物は、自己表現の1つであった。

それは富や権力の象徴でもあるため、裕福なオーナーたちは競うように豪華な馬車をオーダーした。それを請け負ったのが、専門のコーチビルダーである。

ジャガーFペイスSVRジャパンSVエディション(アボカド)
ジャガーFペイスSVRジャパンSVエディション(アボカド)    神村聖

その後、自動車の誕生により、高級車のニーズは馬車から自動車へとシフトしていき、彼らのボディ作りのノウハウは自動車のボディ製造に活かされるようになる。
その頃の高級車の製造は分業制であり、シャシーとパワートレインを自動車メーカーが行い、ボディはコーチビルダーが担っていた。

このため、顧客は自由に好みのスタイリングを持つクルマを手にすることができた。高級車とは完全フルオーダーの「ビスポーク」が基本だったのである。

ジャガーの創業者であるウィリアム・ライオンズは、元々は、サイドカーの製造を手掛けていたが、その経験を活かし、会社を自動車ボディのコーチビルダーへと発展させていく。つまり、ビスポークこそが、ジャガーの原点ともいえるのだ。

最新ジャガーのラインナップも、豊富なオプションが用意されており、顧客の好みに合わせた1台を作り出すことが可能だ。

しかし、今や高級車も大量生産の時代である。豊富なオプションを備えるジャガーと言えど、限界はある。その限界を取り払うビスポークに特化した部門が「SVO(スペシャル・ビークル・オペレーションズ)」なのだ。

「ジャパンSVエディション」とは

ジャガーFペイスSVRの最大の特徴は、508PS型と呼ばれるエンジンにある。

電動化シフトの今、マルチシリンダーエンジンは希少。さらにピュアエンジンとなれば、フィナーレを迎えている段階だ。

ジャガーFペイスSVRジャパンSVエディションの前席(内装色:エボニー)
ジャガーFペイスSVRジャパンSVエディションの前席(内装色:エボニー)    神村聖

しかも5.0LのV8エンジンに加え、スーパーチャージャーをドッキングさせているのだから、贅沢この上ない。ランドローバーよりも、早く電動化シフトを掲げるジャガーにとっては、まさに最後の晩餐といえる。

因みに、フルモデルチェンジが発表されたレンジローバー・スポーツは、新型では、V8エンジンがBMW製の4.4L V8ターボに切り替わるため、おそらくSVRも、このエンジンがベースとなる可能性が高い。ピュアジャガーエンジンとしてのV8は、Fタイプと同モデルのみとなっているだけに、カーガイにとっては極めて価値のある1台といえよう。

その実力は、最高出力550ps/6500rpm、最大トルク71.4kg-m/3500rpmと圧倒的。ガソリン及びディーゼル共に、2.0L 4気筒ターボに統一された標準仕様車と比べると、パワーは2倍以上、トルクはディーゼルの1.6倍にもなる。まさにモンスターSUVだ。

しかし、今回の主役である「SVR」は、さらに一味違う。

SVOが、日本のジャガーファンのために、腕を振るい、特別なカスタマイズを加えた「SVRジャパンSVエディション」なのだ。

つまり、SVOが専門とする高性能化と専用カスタマイズの魅力が一気に味わえるという贅沢さ。その象徴が4色のボディカラーであり、これらはSVビスポークチームと連携して設定され、全てが日本初導入色となる。

各色は5台ずつのみとなるため、SVRの希少性に輪をかけてレアだ。

記事に関わった人々

  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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