リアル・モータースポーツ ケータハム・セブン 420カップへ試乗 究極の公道セブン 前編

公開 : 2022.06.07 08:25

サーキット専用、UKレーサーの公道版といえる420カップ。熱いドライバーに応える能力を、英国編集部は評価します。

究極のロードリーガル・セブン

グレードを問わず、どんなケータハム・セブンでも素晴らしいレーシングカーになるであろう素質を備えることは、想像に難くない。それでも同社は、サーキット専用のレーシング・セブンをちゃんとラインナップしている。

タイトなコクピットにロールケージが張り巡らされ、フロントガラスは備わらない。鮮やかなアルミホイールを、溝のないスリックタイヤが覆う。徹底的に突き詰めた、チャンピオンシップUKレーサーだ。

ケータハム・セブン 420カップ(英国仕様)
ケータハム・セブン 420カップ(英国仕様)

2021年末に、AUTOCARではその1台ヘ試乗した。エッジの効いた生々しい感触や、ミリ単位で導ける正確な操縦性に、ひどく感心させられた。楽しく、懐の深い能力を備えるケータハムだった。

今回試乗した420カップは、そこまで特化された内容ではない。シングルシーターのチャンピオンシップUKレーサーにインパイアされた、究極のロードリーガル・セブンだと同社は説明している。一般道での快適性が、僅かに追加されているという。

確かにコクピットを覗くと、トランスミッション・トンネルにはアルカンターラが巻かれている。オプションのティレット社製バケットシートには、寒い日に備えてヒーターも内蔵できるらしい。

ドライバーを守ってくれるロールケージはオプションで、スポーツとレースという2種類から選択できる。このクルマには必要だ、と感じる人も多いとは思うが。

パワーウエイトレシオは380ps/t

今回の試乗車には、レース仕様のロールケージが組まれていた。ボディを補強する役目も果たし、リアの荷室部分を覆う、金属製のトノカバーも付いてくる。小さなドアミラーの支柱にもなる。

ただし、このロールケージを組むとフロントガラスも省かれてしまう。スポーツ仕様なら残るというから、じっくり考えた方がいいだろう。420カップに標準装備されるのが、トラックデイ(走行会)仕様のロールバー。コクピット後方で、頭上を守ってくれる。

ケータハム・セブン 420カップ(英国仕様)
ケータハム・セブン 420カップ(英国仕様)

ほかにもレーシーな要素は満載。2017年の過激な620Rや420Rドニントン・エディションでも採用された、シュロス社製の6点ハーネスが身体を固定してくれる。ガソリンフィラーはテールの中央に移され、フロントノーズも専用品だ。

積極的な内容でありながら、注文があれば台数制限なしに、この420カップをケータハムは生産してくれる。ただし、最近ショールームを工場に改め生産能力を高めたというが、1年近い受注リストがある。納車は2023年以降になるそうだ。

420カップの特長は、見た目だけではない。本当の魅力は駆動系や足まわりにある。サデブ社製の6速シーケンシャルMTのほかに、ド・ディオンアクスル式のリア・サスペンションには、LSDも装備される。

エンジンはチャンピオンシップUKレーサーと同じ、フォード由来のデュラテック・ユニット。2.0L自然吸気4気筒から、最高出力213psを7600rpmで発生する。チューニングとしては、セブン420と基本的には同じだという。

車重は560kg。パワーウエイトレシオは、380ps/tになる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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