ボルボV90リチャージ・プラグインハイブリッドT8 AWDインスクリプション試乗 正統派ボルボのマナー

公開 : 2022.06.03 05:45  更新 : 2022.06.03 16:48

ボルボV90リチャージ・プラグインハイブリッドT8 AWDインスクリプションに試乗。正統派ボルボの走りを体感しました。

PHEVにテコ入れ

今から5年前の2017年にボルボが発表した電動化の宣言には多くの人が驚かされたはずだ。

2年後の2019年にはすべてのラインナップを電動化すると宣言したのだ。

ボルボV90リチャージ・プラグインハイブリッドT8 AWDインスクリプション
ボルボV90リチャージ・プラグインハイブリッドT8 AWDインスクリプション    宮澤佳久

当時のボルボは「新世代ボルボ」としてすでに勢いづいていた。

それでも電動化と呼べるものは前輪をガソリンエンジンで、リアを電気モーターで駆動するT8ツインエンジンがあるだけ。

それもエコのためというより、非力な2L直4エンジンにスーパーチャージャーとターボでありったけのドーピングをして、フラッグシップに仕立て上げる方策としてのハイブリッドに感じられた。

けれどそこから今日までの「自動車界電動化必至」の流れはご存知のとおり。

当のボルボは日本市場では目標よりも1年遅れてしまったが、2020年にはラインナップのすべてを48VマイルドハイブリッドやPHEVによって電動化することに成功していたのだった。

そんなボルボの電動化ブランドに向けた次なる一手が、昨年登場したボルボ初のBEV、C40リチャージだ。

さらに今年1月には90シリーズと60シリーズのプラグインハイブリッドモデルの改変を発表している。

つまりT8やT6と銘打ったモデルの大幅改良である。

今回試乗したV90リチャージ・プラグインハイブリッドT8 AWDは、ビッグマイナーチェンジともいえる変更が施されたV90シリーズのトップモデルである。

普段はガソリンいらず?

ニューSPAプラグインハイブリッドと名付けられたボルボの新PHEVシステムにはかなり大きな変更が施されている。

2L直4エンジンからはスーパーチャージャーが外され、その低回転域の穴を埋めるため、CISG(クランク・インテグレーテッド・スターター・モーター)の出力が46psから71psにアップしている。

ボルボV90リチャージ・プラグインハイブリッドT8 AWDインスクリプション
ボルボV90リチャージ・プラグインハイブリッドT8 AWDインスクリプション    宮澤佳久

同時にリアモーターも87psから145psまで増強。さらに走行可能距離をのばすため駆動用のリチウムイオンバッテリーの容量は約60%のアップとなり、以前は45kmだったEVモードの走行可能距離(等価EVレンジ)が75kmにまで増加している。

45km(実際はもっと短いはず)では、自宅でよほどきっちりと充電をしておかないとすぐに「普通のガソリン車」になってしまいそうなもの。

その点、75kmもあれば現実的に「近場の普段使いはガソリンいらず」というEVライフを送ることが出来そうだ。

今回V90の試乗は都内から箱根までの行程だった。

都内で走りはじたとき、ワンペダルドライブの自然なドライブフィールに驚かされた。

シフトレバーでBポジションを選び、センターディスプレイでクリープを「オフ」にすると、スロットルペダル1つでスピードを完全にコントロールできるようになる。

ドライブモードは「ハイブリッド」だが、優先してモーター走行をおこなってくれるので、都内の下道を走る限り、運転感覚はBEVそのもの。

つまりガソリン車よりはるかに静かで、スロットルの踏みはじめから力強いのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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