速さは往年のF1級 レボリューションSC500へ試乗 3.7L V6スーチャーで634ps/t

公開 : 2022.06.16 08:25

ラディカル社の創業者が立ち上げた新プロジェクト。往年のF1級に速いマシンに、英国編集部が挑みました。

パワーウエイトレシオは634ps/t

今まで運転したことのないモデルでも、基本的な操作は大体共通している。だが、今まで自分には無理だったことが、このクルマなら可能だという。

筆者が挑戦しようとしているのは、ドニントンパーク・サーキットの第3コーナー、クラナー・カーブを右足を緩めずに通過すること。運転するのは、レボリューションSC500というサーキット専用マシンだ。

レボリューションSC500
レボリューションSC500

開発ドライバーのジェームズ・アボット氏が実際に駆け抜ける様子を、車載カメラの映像で確認はした。だが、コトはそんなに簡単ではない。

このSC500には、スーパーチャージャー付きのフォード社製3.7L V6エンジンが搭載されている。最高出力は507psだといい、車重は800kgしかない。パワーウエイトレシオは、634ps/tもある。

クラナー・カーブの入り口からは、先が見通せない。下り坂で、出口には少しタイトなコーナーが続いている。カーブへ侵入する手前では、SC500は240km/h近い速度に届いてしまう。

一般的なスポーツカーで生成可能な、2倍以上の横Gがドライバーに掛かるという。左のブラインドコーナーをそんな高速で通過することは、筆者にとっては相当に大きなチャレンジだ。

実際、勇気を振り絞ってサーキットに出てみたものの、結局は右足の力を緩めずにはいられなかった。大きく減速するほどではなかったとはいえ、ベタ踏みはできない。

SC500の直線加速自体は、そこまで圧倒的ではない。だが制動力とグリップ力が、ヘルメットを被った頭を強く揺さぶる。

GT3以上の能力をGT4よりお手頃に

こらえきれない右足に、少しがっかりする。プロのレーシングドライバーとアマチュアとの間には、大きな壁がある。ピットに戻り休憩することにした。

このクルマのことは、初耳という読者も多いだろう。レボリューション・レース・カーズ社は、1996年にラディカル社を創業したフィル・アボット氏が中心となって、2018年から進められているプロジェクト。そこで生み出されたのが、SC500となる。

レボリューションSC500
レボリューションSC500

スタッフは6名おり、28台目のクルマを製造中だという。アメリカから10台の追加注文があり、スポーツ・プロトタイプ・カップに、ラディカルなどと並んで出場する可能性もある。

レボリューション独自のワンメイク・レースも検討しているようだ。「スーパーチャージャーがクルマを一変させました。パワフルなだけでなく、回転数の上昇とともにブースト圧も高まり、ターボより管理が簡単なんです」。とアボットは話す。

彼は、トップレベルのGT3マシンより優れたパフォーマンス持つレーシングカーを、GT4マシンより手頃な価格で提供することを目的としている。予定では、SC500を16万ポンド(約2608万円)で提供するつもりだという。

生粋のレーシングカーで、ル・マン・プロトタイプのように、カーボンファイバー製タブで構成されている。ドライバーの頭上には、命を守るハロ・システムが備わる。実際、サーキットのラップタイムはLMP3に肉薄するらしい。

CS500へ乗るには、ハロ・システムの上から。身体をねじ込んだら、想像以上に快適なドライビングポジションに収まれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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